藤田真央ピアノリサイタル@佐川文庫

2018.02.11.Sun.21:47
■藤田真央ピアノリサイタル
■2018年2月10日(土)18時~@佐川文庫
モーツァルト:ピアノソナタ第8番イ短調K.310
ベートーヴェン:ピアノソナタ第32番ハ短調op.111
【休 憩】
♪ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズop.22
♪ショパン:ピアノソナタ第3番ロ短調op.58
【休 憩】
♪シューマン=リスト編:献呈
♪ショパン・ポロネーズ第6番変イ長調 op.53「英雄」
♪モシュコフスキ: 火花(8つの性格的小品 作品36の6)
♪ショパン:夜想曲第20番嬰ハ短調(遺作)

昨夜、東京音大1年生の藤田真央氏のピアノ・リサイタルを佐川文庫で聴いてきました。彼の演奏を聴くのは2度目。それは1年半前の彼が高2の時。故中村紘子氏の推薦で佐川文庫の若手ピアニストシリーズに登場した時です。その時の印象は音の線が細く、全般的に響きに物足りなさがありイマイチ感がありました。その後、2017年のクララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝したというので、どのぐらい成長したのか聴いてみたいと思いました。
結論から言うと、飛躍的に成長していて驚きました。まず左手のバスの音がよく響き、全体的な音バランスがよかった。それと「木の箱」としてのピアノを豊かに鳴らすような弾き方をしていました。彼のツイッターをみると、昨年末、ネイガウスの弟子のエリソ・ヴィルサラーゼに師事していたようです。ロシアの奏法にどこまでふれたのかは分かりませんが、ロシア・ピアニズムに近い響きを感じました。会場となった佐川文庫の200人収容のホールはフルコンのグランドピアノを演奏するには容積が足りず、鍵盤を叩きすぎると音がガンガン響く特徴があるので、聴く時は席を慎重に選ぶ必要があります。私が聴いた後方の席からは木の内装のホールと彼が弾く木の箱からの響きがよく共鳴しているような響きが感じられました。このホールで聴いたどのピアニストよりも、ホールとよくマッチングしているように感じられました。

プログラムは前半がドイツ音楽、後半がショパンという対比。
前半のモーツァルトの8番とベートーヴェンの32番、この2つを並べると、どちらも「苦悩から解放される心の動き」というニュアンスがあるように私には思えます。
モーツァルトの8番の冒頭の左手の刻みが、びっくりするぐらい重い響き。次のベートーヴェンの32番を睨んだ弾き方を狙ったのでしょうか。ウチにあるピリシュ、内田光子らのCDを聴いてみましたが、彼の演奏は誰とも似ていませんでした。つづく緩徐楽章はとてもよく歌っていましたし、第3楽章の明暗の対比や対位法的なところはよかったです。3楽章は映画「ピアノの森」のラストで、主人公の少年がコンクール本番で、普通の上手い演奏を途中で止め、自分の流儀の規格外の演奏をするというシーンがありましたね。ベートーヴェンの32番、それなりにまとめていたとは思いますが、19歳が弾くにはまだ若すぎるかな…とは思いましたが、チャレンジ精神は買います。
後半のショパンの3番は、2週間前にショパンコンクールの覇者チョ・ソンジンの演奏を聴いたばかりです。ソンジンの演奏は、手垢がついているかのようによく弾き込まれた充実した演奏でした。一方で藤田氏の演奏の印象は、この曲を初めて弾いたかのようなフレッシュ感、瑞々しさがありました。この「初めて弾いたような…」とうい感覚は、このリサイタル全般的に及んでいました。これは彼の特筆すべきタレントなのかもしれません。
まだまだ子供のようなあどけなさが残るピアニストですが、さらなる研鑽を期待しています。奇しくも、明日1/12は彼と同じくクララ・ハスキル国際ピアノコンクールの覇者・河村尚子のリサイタルを東京で聴いてきます。このコンクールの歴代優勝者の顔ぶれを見ると、テクニックよりも深い音楽性を真骨頂としている方が多いような気がしますね。

リサイタルの後、会場を速攻で出て、遠方からきていた仕事仲間を水戸駅でピックアップし、大洗で茨城の海の地魚を食べてきました。耳と舌が喜ぶ土曜日となりました。

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