反田恭平ピアノ・リサイタル「フランス」

2016.09.10.Sat.10:32
当初9/8木曜の夜、N響90周年記念演奏会を聴くためだけの上京の予定でしたが、
その日の午後、関心を持っていた若いピアニストのリサイタルがあることを知りました。
彼の名は反田恭平。最近、音楽番組でときどき出るようになってきました。
私が彼の名前を知ったのは3年ぐらい前です。
私の地元茨城で毎春行われている「かさま国際音楽アカデミー」に
講師として参加しているミハエル・ヴォスクレセンスキー教授が
講演の中で、そこはいない反田氏のことを「非常に才能があるピアニスト」として
異例の紹介していたのが印象的だったからです。

私が聴いたリサイタルは、
8月末に即日完売になったという三夜連続のリサイタルの追加公演で
同じ内容のプログラムが9/7〜8の昼間に行われました。
「ドイツ」「フランス」「ロシア」という3つのプログラムが準備されていましたが
私の場合、上京の日が決まっているので
2日目の「フランス」と選択の余地はないのは仕方がないです。
なんとかチケットはゲットできました。
ほぼ満員のホール内の聴衆の約8割は女性で、
そのほとんどが音大生、ピアノ教師風の方でした。


■反田恭平ピアノリサイタル「フランス」
■2016年9月8日(木)14時@浜離宮朝日ホール

♪リスト:詩的で宗教的な調べより第7番「葬送」
♪ショパン:ノクターン 第17番 Op.62-1
♪ショパン:スケルツォ 第2番 変ロ短調 Op.31
 【休 憩】
♪ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
♪ラヴェル:夜のガスパール
 【アンコール】
♪チャイコフスキー:四季より8月
♪ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番「悲愴」から第2楽章

テレビ番組「題名のない音楽会」では
反田氏の圧倒的なテクニックを主に放送されていましたが、
私はどちらかというと彼がモスクワ音楽院で学んでいると思われる
ロシアの伝統的なピアノ奏法を聴いてみたいというのが本音でした。
昨年、クラシック好きの知人に教えていただいた
ピアニスト原田英代氏の著作「ロシア・ピアニズムの贈り物」を読み
とてもその内容に興味があったからです。
そこにはロシア音楽の奥義である言霊と歌、文学と音楽など
精神的な真髄を表現するための
楽譜の読み方や重量奏法と呼ばれる身体の使い方などが記されています。
原田氏の演奏を聴いたことがありませんが、
ロシアで学んでいる反田氏がロシア・ピアニズムの片鱗を
見せてくれたらいいなという思いもありました。

反田氏の見た目は「草食系男子」という印象ですが、
音楽そのものは大木のような強度はありました。
左手の低音の鳴らし方がピアノという箱を鳴らしているような響き。
一方で高音の弱音はホールの隅々まで響く葉を揺らすような繊細さ。
そして鳴らしていない音が響く倍音的な感覚。
これは原田氏が書いていた内容と合致する響きじゃないかとみました。

リストの曲からは、聖なるものと俗なるものの葛藤、
ショパンの曲は、左右のバラバラの指から聴こえてこない内声をいかに出すかに
心を砕いている感じがしました。
そして超絶的難曲「夜のガスパール」は、
いままで聴いてきたさまざまなピアニストの実演の中では
もっとも完成度が高いパフォーマンスだったと思います。
ただ文学的というか、言葉が響いてくる感じはあまりしませんでした。

私が反田氏に期待したいのは
ラドゥ・ルプーやクリスチャン・ツィメルマン、エリソ・ヴィルサラーゼらのような
音を言葉に置き換えることができるような音楽家になってほしいことです。
その道はまだまだ険しそうですが可能性を感じました。
私は、反田氏が弾くシューマンってどんな感じなのか
いつか聴いてみたいです。

ただちょっと気になったのは彼が所属する事務所の件。
反田氏を育てるというよりも、
いかに売り出すかという興行主義的なところが見え見えでした。
CDとサイン会参加権が付いた有料のプログラムが販売される一方で
入場時に手渡されたのは演目の変更を知らせるA4一枚の紙切れポッキリ。
これだけだと物足りないですね。
今度、反田氏はあの佐渡ヤンと協奏曲を引きまくる全国ツァーがあるようです。
反田氏の音楽的な消耗をちょっと心配してみましたw。
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コメント
No title
質問をしても良いですか?

ヨーヨー・マさんが大好きで演奏会には
17年間来日の度に必ず行ってます。
他の演奏者でお薦めがあったら是非!教えてください。
お願い致します。

おすすめの演奏家
ナオミさん

コメント、ありがとうございます。ヨーヨーマもすばらしいですね。音楽家はたくさんいるので、なかなか絞りきれません。昨年、聴いた日本人ピアニストの反田恭平氏は、まだ若いですがビックリするようなテクニックと音楽性を持っていました。

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