水戸室内管第96回定期演奏会と大洗で音楽談義

2016.06.06.Mon.23:30
昨日(6/5)の午後、水戸芸術館で水戸室内管弦楽団第96回定期演奏会を聴いてきました。
今回の聴きどころは、世界的なヴィオラ奏者ユーリ・バシュメットが指揮とヴィオラ独奏をつとめることです。
演目は以下の通り。

♪ハイドン:交響曲 第83番 ト短調 Hob.I-83 〈めんどり〉
♪パガニーニ(パラショフ、カッツ編曲):ヴィオラと弦楽のための協奏曲 イ短調
   (原曲:ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・ギターのための四重奏曲 第15番)
 【休 憩】
♪ブルッフ(フィードラー編曲):コル・ニドライ (ヴィオラと弦楽のための)
♪シューベルト:交響曲 第5番 変ロ長調 D485

演奏会の前日に私は演目の特徴が、古典的な交響曲(A)とヴィオラ独奏を伴う楽曲(B)という類似性から、休憩を「鏡」にして中央に位置づけると、A-B-(鏡・休憩)-B’-A’という対称形の構成になっていると考えました。しかし、実際に演奏を聴いてみた印象では、それぞれの楽曲の弦の響かせ方に差異を感じさせる内容になっていました。だから4つの楽曲が「起承転結」のようになっていたと言ったほうが適切かもしれません。「転」とした3曲目のコル・ニドライの独特の響きが特に際立っていて、全体の転換点になっていたと思います。

1曲目のハイドンの交響曲第83番「めんどり」は、様式美を活かした端然とした弦の響き。ト短調ですが、全体的にはリズム感が際立つ明るい曲調。「コッコ・コッコ・コッコ・コッコ…」という付点のリズムがめんどりの鳴き声を思わせるのがハイドン独特にユーモア感覚。バシュメットは時折、指揮する手を止めて、メンバーに音楽を委ねるようなシーンが見受けられ、初共演なのにオーケストラとかなり信頼関係を気づいたのかなと思いました。

2曲目のパガニーニのヴィオラと弦楽のための協奏曲は、バシュメットのヴィオラ独奏と指揮の両方をつとめます。弦の専門家が編曲しただけあって、ヴィオラ独奏に対して、他の全弦楽器が「タタ・タン、タタ・タン」と弓を弦に叩くようにしてつくっていたハーモニーの箇所にはちょっとビックリ。はじめて聴いた感覚でした。ステージ状に雲のようなものがフワッと横たわっている映像が見えた感じがしました。全体的にみるとヴィオラ独奏は高度な技術を見せる外連味が強い内容になっていました。この時の響きはヴィオラであっても、高い音を繊細なヴァイオリン的な歌い方になっていました。

3曲目のブルッフのコル・ニドライの原曲はチェロ独奏ですが、それをヴィオラ版に編曲されたものが演奏されました。やはり原曲のチェロ的な低音によるユダヤ聖歌のメロディラインを印象的でした。2曲目と3曲目で、俗的なものと聖なるものを対比させた構成であることに、この時点でやっと気づきました。ヴィオラはヴァイオリン的な部分とチェロ的な部分を併せ持つ両性具有的な楽器だと改めて思いましたそれとこの曲の響きにはオリエンタルなものが隠されていたように思います。2000年秋、イランを外遊した時、古都イスファハンのダウンタウンで偶然みつけたネストリウス派の原始キリスト教の教会に入ったことがあります。そこで聴いた素朴な聖歌を思い出しました。

4曲目のシューベルトの交響曲第5番変ロ長調はやや不満。メロディラインがキレイすぎる曲なので、下手すると全体が一本調子になってしまう危険があると私は考えています。低弦はそれなりに鳴っていますが、ヴァイオリンがやや単調というか軽い。水戸室内管のメンバーの世代交代の過度期かなとも思いました。それと管楽器は、オーボエ以外は鳴っていなかったように聴こえました。私は同じステージでいろいろなシューベルトを聴いてきました。準・メルクルが指揮した第8番ハ長調「グレイト」やクリスチャン・ツィメルマンの変ロ長調のソナタD960はすばらしかったな。全体が明るい調性であっても、もっと陰影や彫りの深さ、絶望感がないとシューベルトを聴いた感じがしません。特に第3楽章のメヌエットは舞曲であっても、もっと負のスパイラル的諦観がもっとあってもよいし…。

4曲通して聴いてみると、前述しましたが、弦の音色感が起承転結的な変化に妙なるものがあり、弦の専門家バシュメットと共演した成果はそれなりにあった演奏会だったと思います。

演奏会後、私はクラシック音楽好きの友人4人と会食をしながら音楽談義をしました。の計5名。場所は私が贔屓にしている大洗の地魚料理店。水戸室内管の定期演奏会の感想、特にコル・ニドライについては概ね同じだったように思いました。みなさん、外国で音楽を聴いた経験が豊富な方ばかりなです。いちばん盛り上がったのはワーグナーをはじめとしたオペラの話しでした。新国でローエングリンを歌ったフォークトのこと、バイロイト、ウィーン、ブタペストの最近の音楽事情など。音楽に造詣が深いマイミクさん方にいろいろ教えて頂きました。

以下、大洗で食べた地魚料理。
不覚にもデジカメにSDカードを入れ忘れ、ガラケーで撮ったものです。
・タコのトマト煮をフランスパンで…。
・魚介類ともずくの酢の物
・刺し身(カツオはおろし玉ねぎで)
・常陸牛の陶板焼き
・イサキの塩焼き
・フグの天ぷら
・地魚の寿司(生シラスのお寿司、美味かった)
・アサリの味噌汁
・コーヒー

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