カラヴァッジョ展 @西洋美術館

2016.03.12.Sat.22:37
昨日、東京出張でした。
打ち合わせは午後からだったので、
空いていた午前中にジョルジョ・モランディ展、
夜はカラヴァッジョ展を見てきました。
今日は後者の方を書きます。

上野の西洋美術館、金曜日に限り、夜20時まで開いています。
夜は昼ほど混んでないそうです。
先日、行った都美のボッティチェリ展のような大混雑はなく、
私はゆっくりと絵画を見ることができました。

私の好みでいうと、ボッティチェリ展より
カラヴァッジョ展の方が感銘を受けました。
チケットに描かれているのは
カラヴァッジョ画の「エマオの晩餐」です。

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カラヴァッジョは、ルネサンス美術の後に出現し、バロック美術の先駆けとなった画家。
光の表現、劇的な表現など後世の画家へ与えた影響は大きいといわれています。
彼の真作11点が来日するわが国最大規模の展覧会らしいです。
カラヴァッジョは芸術家としては偉大ですが、人間的には問題があったようですね。
人を殺したり、裁判沙汰を起こしたりと品行はよく無かったようです。
しかしながらそれらを差し引いても、絵画の業績が圧倒的なので
長く彼の名が今日まで受け継がれているようですね。

私、学生の時に2度イタリアへ行きました。
建築学科の学生だったので、興味は建築や都市の方でした。
美術はルネサンス美術を中心に見てきました。
したがって現地でカラヴァッジョの作品を見た記憶があまりないのですが、
唯一、よく覚えていたのはミラノのアンブロジアーナ美術館でみた「果物籠」です。
(この展覧会では残念ながら来ていません。)
とても写実的な作品です。しかしよくみると、果実の美しさや瑞々しさだけでなく
虫に食われたリンゴ、枯れているイチジクの葉っぱも描かれています。
学生だった私、美しさと醜さを併せ持つこの静物画のつよい印象をいだきました。
今、思うと、画家としての名声の一方で、殺人などスキャンダラスに満ちた人生を送った
カラヴァッジオの光と闇の似姿のようにも思えます。

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展覧会全体の展示方法はなかなか気が利いたものでした。
カラヴァッジョとその関連絵画が以下の7つのテーマで展示されていました。
「風俗画」「五感」「静物」「肖像」「光」「斬首」「聖母子と聖人の新たな図像」
そして特に目玉となるいくつかの作品は下部からアッパーライトが的確に照らされることで
とてもよく絵画を見ることができました。
カラヴァッジョの作品は、背景が暗色で塗られていることで
いっそう対象物が強調されて浮かびあがるように描かれていますが、
さらに対象物の光の当て方が巧み、陰影がより強調されていました。
チケットに描かれていた最上部の「エマオの晩餐」がその代表例。
だれもがレンブラントの絵画を思い起こしたことでしょう。

印象に残った絵画2点について記します。

この「果物籠を持つ少年」も、上の「果実籠」のように
写実的に美しく瑞々しい果実が描かれています。
その籠を持った少年の表情が、メランコリックです。
おやっと思ったのは、果実は精緻に描かれているのに
少年はぼやけていて輪郭もあいまいな感じです。
なので上下のバランスがなんとも変に見えました。
しかしそれは意図されたものらしいのです。
古代ギリシャの画家の故事が絵の側に記されていました。
彼は葡萄と少年の絵を描いたそうです。
あまりにも葡萄が見事に描かれていて、鳥がそれを本物と思ってついばみにきた。
しかしそれは絵なので、無理な話です。
画家は、もし少年がもっと上手に描かれていたら鳥が来ることはなかったはずだと
自分の技量を嘆いたそうです。
カラヴァッジョはその故事にならって
果物籠と少年を対比的に描いたということです。

カラヴァッジョは静物画を最初に描いた画家と言われているそうです。
午前中に東京ステーションギャラリーで見てきたモランディの静物画を思い出し、
私はイタリアの美術史の静物画の流れに思いをはせました。

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2つ目は「法悦のマグダラのマリア」。
この絵がカラヴァッジョが死ぬまで側に置いていたものらしいです。
長い間、行方不明だったそうですが、2014年に個人蔵のコレクションから発見され
専門家の鑑定の結果、カラヴァッジョの真筆とされたそうです。
この東京での展覧会が世界初公開ということです。
マグダラのマリアの表情が素晴らしい。
涙がこぼれ落ちそうな目の描き方には衝撃を受けました。
それと赤・白・暗赤褐色の三色が、三角形の構図の中にビシッと納まっています。
シンプルな構成なので、いっそう、マグダラのマリアが際立って見えます。
インパクトが強い作品だと思いました。
引き寄せられる来場者がいちばん多かったのではないかと思います。

私、カラヴァッジョの「法悦のマグダラのマリア」をみて
ローマのサンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会の
ベルニーニの彫刻「聖テレジアの法悦」を思い出しました。

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