弟子は師に似る…カマキンにて

2016.01.29.Fri.23:52
1/27に片道3時間半かけて鎌倉へ行ってきました。
今月末で閉館する
神奈川県立近代美術館鎌倉館(通称・カマキン)をみるためです。
65年前に鶴岡八幡宮境内に開館しました。
戦後5年目にできた、わが国最古の近代技術館です。

私が横浜市鶴見区に住んでいた時はよく行っていましたが、
それでも20年ぶりの訪問となりました。

設計したのは坂倉準三氏。
65年も経っているのに、それほど古さを感じないのは、
デザインだけでなく、
内部j区間と外部の自然を自由自在につないだ
巧みな空間構成にあると思います。
前庭からのアプローチ階段、
2階の展示空間を出た時の中庭の広がり、
1階の平家池に面したテラスなど、
いきいきとした空間に触れることができます。
下の写真は、今回撮ってきたものです。

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私が建築学科1年生の時のころといえば
ポストモダンの終焉も近く、
脱構築主義の萌芽がみえはじめたころです。
ですが、大学の授業では
近代モダニズムを最初に学びます。

ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエら
三大巨匠の作品の写真や図面をみながら、
建築模型をつくる実習がありました。
その時、日本の近代建築の作品集でカマキンを知りました。
第一印象は、「カマキンって、サヴォア邸に似てる!」。
設計者の坂倉準三氏がル・コルビュジエの弟子なので、
デザインが似てるのは
自然といえば、自然ですが…。
建築学科1年生にとっては新鮮なことでした。

下の写真は2002年秋にパリ郊外のポワシーにある
サヴォア邸を訪れた時のものです。

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サヴォア邸は85年前に竣工。
カマキンとは20年のひらきです。
ル・コルビュジエは近代建築の五原則、

ピロティ、
屋上庭園、
自由な平面、
独立骨組みによる水平連続窓、
自由な立面

を提唱しましたが、この考え方は
サヴォア邸が特によく出ていると考えられています。
実際にサヴォア邸をみた後にカマキンをみると、
この五原則を念頭において設計されていることが
いっそう、よく分かりました。

一方で、ル・コルビュジエが考えた
モジュロールという寸法や比例の考え方も
ディテールの寸法や建物全体のプロポーションをみれば
これも師の教えを踏襲していることが分かります。

これら以外では、
2階部分を上部に持ち上げて反重力的で軽やかなファサード、
内と外、1~2階のつながりを感じさせる空間構成、
人の動きを意識したスロープや階段のデザイン
建築の色が「白」を採用
など、類似点があげられます。

坂倉氏の設計が、ル・コルビュジエに似たところが多いのは、
師弟関係だったところが大きいと思いますが、
実際、私たち建築設計に携わるものたちも、
ル・コルビュジエの書物や
「近代建築の五原則」や「モジュロール」の考え方に
つよく影響を受けていることは明らかです。
ル・コルビュジエ自身も、若い時の旅でみた
ギリシアの神殿群に影響を受けたことを書いています。
列柱や白い建物はその現れです。
サヴォア邸は、どことなく
パルテノン神殿の雰囲気を持っているような気がしませんか。

建築って、
影響を受け、一方で影響を及ぼしながら、
なにか新しいものを積み上げていることで
歴史がつくられているように思えます。
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