いい香りがした風笛の音(トーンドゥルのオーボエ)

2015.08.12.Wed.12:36
■フィリップ・トーンドゥル|オーボエ・リサイタル
■2015年8月11日(火)19時〜@水戸芸術館
フィリップ・トーンドゥル(オーボエ)
加藤洋之(ピアノ)

♪シューマン:アダージョとアレグロ 作品70
♪ラヴェル:ソナチネ
♪ポンキエッリ:カプリッチョ
  【休 憩】
♪プーランク:オーボエ・ソナタ
♪ニールセン:2つの幻想的小品 作品2
♪ケクラン:11のモノディ 作品216より 第10番〈ティテュロスの休息〉
♪パスクッリ:ドニゼッティの歌劇〈ラ・ファヴォリータ〉の主題による協奏曲
  【アンコール】
♪ドラティ:蝉と蟻
♪シューマン:幻想小品集 作品73から第1・3楽章?
      (間違っていたら失礼)
♪ドラティ:子守唄

昨夜、水戸芸術館で
シュトゥットガルト放送管弦楽団や
水戸室内弦楽団などで活躍する
オーボエ奏者、フィリップ・トーンドゥル氏の
日本初というリサイタルを聴いてきました。

最近、私が水戸芸術館で聴いた演奏会は、
私の期待を上回るどころか、むしろ失望することが多く、
水戸よりも東京で音楽を聴く機会の方が多くなっていましたが、
昨夜は例外的に良い演奏会で、
ひさびさに聴きに行って良かった!
と思いました。

私がこれまでライブで聴く機会が多い名オーボエ奏者は
ハインツ・ホリガー、宮本文昭
そしてフィリップ・トーンドゥル各氏です。
私が持つ各氏のイメージは次のような感じ。

ホリガー氏は竹を割ったような潔く、ややメタリックな音色。
宮本氏は暗闇に灯った炎のような微妙に揺れる艶のある音色。
フィリップは誠実な人柄がにじみ出る
爽やかで芳香のようなものが感じられる音色。
個人的には宮本氏の音色が好みですが、
26歳のフィリップは今後、経験を積むことで
音色も変わっていくことでしょう。

フィリップはオーボエだけでなく
曲によってはオーボエ・ダモーレを用いての二刀流。
宮本氏もそうでしたが長いフレージングが圧巻でした。
まーるく見える水平線のように
空に大きなアーチを掛けるようなイメージを持ちました。

プログラムは、オーボエの魅力が発揮できる
多彩なものが選ばれていました。

昨夜のリサイタルの冒頭のシューマンのアダージョ、
そのゆったりとしたテンポと抑揚に惹きつけられました。
誰の真似でもないフィリップが考え抜いたフレージングでした。

ラヴェルのソナチネはピアノ独奏の曲ですが、
オーボエとピアノ用に編曲されたもの。
ハーモニーというよりもメロディが立った演奏でしたが、
新感覚のソナチネとう感じでした。

一方で、
コロラトゥーラ・ソプラノのアリアを想起させる
ポンキエッリやパスクッリの作品は
フィリップの生真面目さからでしょうか、
歌うことよりも、正確に演奏することに重きがあったようで
もっと遊び心があってもいいように思えました。
その時、私は、奇人であり歴史的名ピアニストである
アルトゥール・ベネデッテイ・ミケランジェリは
「人間には三種類ある。男と女とオペラ歌手だ。」
という迷言を思い出しましたw。
アリアを歌う人は、常識的じゃダメなのですw。

私見ですが、
フランス人のフィリップが演奏したラベルやプーランクよりも
ドイツ・ロマン派のシューマンの音楽が
いちばん音楽的に合っていたように感じました。
シューマンの鬱屈した心情を表現しようとする
フィリップの真摯さがうまく融け合っていた
と思えたからです。
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