川瀬巴水が描いた日立の浜辺

2015.05.23.Sat.17:45
川瀬巴水といえば、大正から昭和にかけて活躍した
風景画を得意とした版画家で、「昭和の広重」とも言われています。
最近、評価や人気が非常に高まっているようです。
アップル社のスティーブ・ジョブズがコレクターであったことも有名です。
正直言うと、私の絵画の好みではないので、
興味を引かれませんでした。

3月にわか家の近くの巴水とゆかりがある大学で展覧会があり、
それにあわせて作家・林望の
「川瀬巴水の見ていたもの―その版画に残された美しい日本」
という講演会があるというので、
巴水の作品よりもよりも林氏が聞きたくて出かけてきました。
林氏は英国に関する軽妙洒脱なエッセイで有名ですが、
『夕暮れ巴水』という本も出していることを知りませんでした。

巴水は昭和19年以降、水戸や日立など
茨城県を好んで訪問していたそうです。
その理由を林氏なりに分析してみると、

①巴水が好んだ水景が多い。
②観光の手垢にまみれていない。
③目的のなく歩くのが楽しいところ。
④茨城県民のひとがいい気質が気に入った。

ということを仰っていました。
全国の魅力度ランキングでいつも最下位争いをしている茨城県が
巴水の琴線にふれていたというのは、なかなかおもしろい!

林氏が評価する巴水の作品の中で
1947年に製作された「水木乃 曇り日」があります。

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この作品には巴水の表現上の特徴が非常によく出ている
と林氏はいいます。
それは、
・無名の風景であること。
・巴水が好んだ夕方でかつ曇天であること。
・水(海)がある風景であること。
・人があまりいないこと。

この水木浜というのは、
わが家から3キロぐらい離れた
小さい水木海水浴場のこと。
私が高校生ぐらいまでは、
自転車でよく泳ぎに行ったところです。

私、この絵画を描いた場所を特定したいと思っていたので、
それまではこの日記をかくことを封印していました。
そして、やっと今日、水木海岸の近くを通りかかった時に
巴水が立った場所を探してみました。
おそらくこの辺りでしょう。
海の見え方や、宅地の様子がよく似ています。
311大震災で、住宅もかなり減ってしまった感じがします。

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巴水は私が好きな抽象画や現代美術とは真逆の版画家ですが、
彼の作品から郷愁がさそわれるのは確かです。
昔はこんな風景だったのか…という
失われた風景に対していろいろな発見があります。
たとえば、
集落や道路の感じは変わってしまっても、
海の色や波の感じや空の色は変わっていない
ということです。
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