ベン・シャーンと山口晃の邂逅

2015.05.21.Thu.23:58
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水戸芸術館現代美術ギャラリーで催されていた「山口晃展」と、
その後に茨城県近代美術館で催されている「ベン・シャーン展」は
千波湖をはさんだわずか1.5㎞離れた美術館の位置関係にあって
およそ3週間、同時開催していました。

それはいったい何なの?
と、人に言われるかもしれませんが、
私にとってはとても興味深いことでした。

全然ちがう作風のようでいて
私はこの日米の画家の共通すると考えていたものが
私の関心ごとでもあったからです。

それは、「いま」ということを
痛烈に意識させる表現に満ちていること。

山口晃は会田誠とならんで、現代美術の旗手です。
日本画の手法を取り入れた作風から
「現代の大和絵師」とも言われていますが、
感覚は非常にリアリストだと思います。
過去の歴史的な題材と近未来的題材を縦断しながら、
現在を強く意識させようという狙いがそこにはあります。
武士が乗る馬がバイクのようであったり、
古い町並みがショッピングモールに内包されていたり…。

水戸芸の個展の会場構成も、
参道のように通路を規定することで、
まず全体像をまず意識させ、次にディテールへ
というかたちになっていました。
作品をみる前に、会場全体を俯瞰してみせられたことで
私は、「いま・ここ」ということを強く意識しました。

一方で、ベン・シャーンは、20世紀アメリカの反骨の「社会派」の画家。
人種差別や迫害、不条理などを主な表現のテーマにしました。
水爆実験で被爆した第五福竜丸をテーマにした「ラッキー・ドラゴン」シリーズ、
フランスのドレフュス事件をテーマにしたシリーズなどが有名です。

311大震災の時の夏、福島県立美術館で「ベン・シャーン展」があり、
私ははるばる見に行きました。
原発事故が起きた福島県で「ラッキー・ドラゴン」シリーズが
公的美術館で展示されたことの意義は大きいと思いました。

私はこれらの展覧会をみた後、
この2人が歴史や社会に対しての旺盛な批判精神に感服しながら、
常に軸足の「いま」に置いて、その眼差しは人間そのものに
ユーモアとあたたかさに満ちていることに感動しました。


これは、私が所蔵する唯一のシャーンの作品。
「チターを弾く男」とうい版画。
ワインの瓶とくらべてみれば、
その大きさが分かりますねw。
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これは、再販されたフェレンツ・フリッチャイ指揮の
ベートーヴェンの交響曲全集のCDカバーが無味乾燥だったので、
私がシャーン画のベートーヴェンの肖像のオリジナル・デザインに
リノベーションしたものです。
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