原田幸一郎の「古稀」の室内楽@紀尾井ホール

2015.05.05.Tue.12:05
■至高の室内楽 MOSTLY KOICHIRO vol.2
■2015年5月3日(日)14時@紀尾井ホール

原田幸一郎(ヴァイオリン)
神尾真由子(ヴァイオリン)
神谷美千子(ヴァイオリン)
磯村和英(ヴィオラ)
鈴木学(ヴィオラ)
毛利伯郎(チェロ)
岩崎洸(チェロ)

♪シューベルト:弦楽三重奏曲変ロ長調D471(未完)
♪ブラームス:弦楽六重奏曲 第1番 変ロ長調 Op.18
  【休 憩】
♪シェーンベルク:浄められた夜 Op.4  
  【アンコール】
♪チャイコフスキー:弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」op70から第二楽章

この日は午前中、有楽町の東京フォーラムで開催されていたLFJ2015の
午前中の2公演を聴いた後、この音楽会を聴くために紀尾井ホールへ移動。
非常の満足できる内容でした。
この演奏会では、個人的には3つのサプライズがあったと言えます。

①プログラムの解説を開いてビックリ!
この音楽会の解説は、私が懇意にしている音楽評論家TY氏が書いていました。
ありかわらずの健筆ぶりで、楽しく拝読しました。
特に弦楽三重奏、弦楽六重奏(三重奏✕2)に関しての考え方が
私とシンクロする内容だったので、興味深い内容でした。

②旧友と隣合わせになってビックリ!
フェイスブックではこの音楽会に来るので
「終演後にちょっと会おう」とやり取りしていたYM氏、
なんと席が隣り同士だったことには超ビックリでした。
(私のチケットは2月にネットで買ったものです。)
「神の計画」とした思えませんw。
彼女は、芸大の時に原田氏に師事していたので
古稀のお祝いの音楽会に来るのは自然なこと。
久しぶりにお会いしたので、
いろいろお話をさせてもらって楽しかったです。
YM氏が言っていたことで印象的だったのは、
「70歳を超えて、このクオリティの音楽ができることはスゴイ!」ということです。
ヴァイオリニストは50歳を超えると岐路に立つそうです。
それまで培ったモノが確かなら、さらに自分の音楽を高められる人、
肉体的な衰えから、音楽的にも技術的にも停滞してしまう人。
私見ですが、水戸芸術館のATMアンサンブルで聴いた原田氏よりも
今回、紀尾井で聴いた原田氏の方が、内容が良かったように思いました。

③弦楽六重奏、弦楽三重奏の低弦の鳴りの良さにビックリ
クラシックでは「4」という数は、絶対的なものがあります。
春夏秋冬、起承転結のように、4楽章、4声部が揃うことで
揺るぎのない構成感がでるからです。
だから弦楽四重奏とちがって、
六重奏、五重奏、三重奏は曲目も少ないし、演奏機会も多くない。
しかし改めて今回の演奏会では、
ヴァイオリンに対して、低弦パート(ヴィオラ、チェロ)が2倍の音のなることで
しっかりとしたバスに支えられた室内楽を堪能できました。
むしろ弦楽四重奏よりも、こっちの方が好きなぐらいです。
私、低弦がよく鳴っている室内楽を聴けて満足!

演目の感想を手短に書きます。

シューベルトの弦楽三重奏曲#1(原田・鈴木・毛利)は追加演目でした。
これも嬉しいサプライズでした。ライブで聴くのははじめての曲。
未完というのもシューベルトらしいw。
シューベルトの変ロ長調、私は大好きです。
ピアノソナタD960や即興曲D935-3もそうですね。
なんとも言えない透明感と死へのあこがれのような調性だと思っています。
初夏の小川を遡及して森へ入っていくと
もう戻れなくなってしまう感じがした演奏でした。

シューベルトの後のブラームスというと「うた」つながりでしょうか。
ひさびさに聴く弦楽六重奏曲#1(原田・神尾・磯村・鈴木・毛利・岩崎)は、
しっかりとした4本の重厚な低弦に支えられて、
原田氏と神尾氏は気分良さそうに弾いていましたね。
そうなると聴く側も気分がイイ。
この音楽は、全員が上手くないとイイ演奏にはなりませんが、
そういう点では盤石な布陣だったでしょう。
なぜならソリスト級の若手(神尾・鈴木)がセカンドの弾いているし…。
私はこの曲の第二楽章のロマンティークな変奏曲のところが大好きです。

後半は「浄められた夜」。(原田・神谷・磯村・鈴木・毛利・岩崎)
実演やCDなどでは弦楽合奏版しか聴いたことがなかったので、
弦楽六重奏で聴くとどのような感じなのか楽しみにしていました。
響きが「素型」で、ひとちひとりの音が立つことで、
この曲の持つ情念やエロスがより生々しく際立って聴こえてきました。
不協和音がとても美しく響いていました。

古稀の原田氏は得意な弦楽四重奏を封印して
弦楽三重奏、弦楽六重奏という難しいかたちの音楽を用意するという意欲、
高い水準の瑞々しい演奏を聴かせてくれたこと、
それらに私は感心しました。

この日、16時前に
地震が起きて場内はすこしざわつきました。
しかし原田氏らは、演奏に没頭していました。
気付かなかったのかな。
演奏後、隣りのYMさんに言いました。

「なにごとが起きても、歳をとっても
(古稀の原田氏は)音楽は止めてはいけない!
という天からのメッセージだね」と…w。
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