昔、アルゲリッチはよく聴いたけど…。

2015.03.13.Fri.13:55
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私が好きなピアニストのひとりであるフリードリヒ・グルダの著作、
『グルダの真実−クルト・ホーフマンとの対話』(洋泉社)を先月、読みました。
絶版になっている本ですが、
県立図書館の閉架書架に眠っていることがわかり借りてきました。
この本は、毒舌で奇人のグルダらしく、歯に衣着せぬ発言が多く、
おもしろいと思う一方で、異議を感じるところもあったりしました。

その中で、子どもの時のマルタ・アルゲリッチに関する話が
なかなか興味深いものがありました。
いまや「鍵盤の女王」として君臨するアルゲリッチは、
いちおうグルダの弟子ということになっています。
下の画像は、本の中にあった
グルダとアルゲリッチのめずらしい2ショットです。

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グルダは自分のことを、教師失格と考えていて、
弟子もほとんど取らなかったと言っています。
しかし、世の中のピアノママたちが
わが神童とやらを連れてきて
「うちの子の演奏を聴いてほしい」と
行く先々で殺到していたので困っていました。

南米の演奏旅行中
執拗で強引な女性がママ・アルゲリッチ。
そしてとうとう根負け。
しかし12歳のアルゲリッチが弾くシューベルトを聴いて
グルダは驚愕したそうです。
それをみたママ・アルゲリッチは
「推薦状を書いてほしい」と懇願したそうです。
彼女たちは有名ピアニストの推薦状をあつめて、
娘と欧州へ行こうとしていたのです。

実際、ウィーンにやってきたアルゲリッチに、
「教えることは何もない」と言っても
「私は、クラシック音楽をウィーン人のあなたのところで学びたい」と。
その時、グルダが直感したのは、
ウィーンという環境の中で音楽に触れることが彼女の最大の勉強だと悟り、
無報酬で、何かを教えようと努めたそうです。
その後のアルゲリッチは、ミケランジェリにも習いにいったり、
破竹の勢いでコンクールで優勝をつづけたるする一方で
男性遍歴もはじまったことにもふれています。
しかしながら、グルダにとってアルゲリッチはいつまでたっても
12歳のかわいいマルタらしいです。
アルゲリッチにとってグルダは父親的存在ですね。

私も、アルゲリッチのリサイタルへ行ったり、CDを買ったりと
20歳台ぐらいまでは熱心なリスナーでしたが、
最近は、興味は薄れてきました。

アルゲリッチは卓越したテクニックをベースにしながら
感情がおもむくままに奔放に突きすすむ
情熱的で華麗な音楽が持ち味ですが、
私の嗜好が、別の方向へ移っていったからでしょう。
ショパン系が得意なピアニストよりも、
ベートーヴェン系が得意なピアニストが好きです。

私見ですが、アルゲリッチは、ソロよりも協奏曲向きだと思います。
協奏曲が、「競争」曲と言えるぐらいの指揮者やオーケストラとのバトルが
彼女の持ち味がいちばん出ると思うからです。
しかしながら、最近は独奏者というよりも、
室内楽の世界で活躍している印象が強いです。

したがって、
アルゲリッチのCDのは彼女が若い時のものしか持っていません。
実際に所蔵しているCDの中で名盤だと思うのは、

・チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番(指揮コンドラシン、バイエルン放送響)
・ラベルとプロコフィエフのピアノ協奏曲(指揮アバド、ベルリンフィル)
・ラベルのピアノ曲集(夜のガスパール、ソナチネ、高貴で感傷的な円舞曲)

ですが、捨てがたいのが
・バッハ作品集(1979年)
(トッカータ ハ短調、パルティータ第2番、イギリス組曲第2番)。
素のアルゲリッチをみるかのような自然で実直な演奏です。
このバッハのCDを聴いた30年ぐらい前、
いつかアルゲリッチが芸術家としての内的成熟をした上で
彼女のベートーヴェンのピアノソナタを聴いてみたいなぁ思ったのですが
その夢が叶うことは難しそうです。

(アルゲリッチは、ベートーヴェンの初期の協奏曲や
ヴァイオリンソナタ、チェロソナタなどの録音はあるのですが、
私は残念ながら、イイねとは思えませんでした。)
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コメント
こんにちは!ヴィルサラーゼでたどり着きました。初めましてと思ったらmixiでお友だちでしたでしょうか?長いことmixiから離れているので定かではありませんが。

アルゲリッチ、僕はもともとそれほど興味はありませんでしたが、クレーメルとのデュオやマイスキーの加わったトリオなどを見る機会があり、あぁアルゲリッチはなんて良い音楽家なのだろうと思ったものです。

昨年のラ・フォル・ジュルネの2台ピアノでの春の祭典は度肝を抜かれました。自分の常識では考えられない奏法であぁも豊かな表現を実現していて。

娘さんの撮った映画も見ましたが、アルゲリッチがようやく近づいてきた思いでいます。好きなタイプではないはずですが、あれが目の前にあれば圧倒されざるを得ないです。ですのでこれからも見る機会があれば行くと思います。宮崎までは行きませんが。

ところでヴィルサラーゼ、僕は昨年のすみだは行けませんでしたが、先日の東京音大のミニリサイタル&公開レッスンは見ましたが、やはり素晴らしかったですね!録音ではわからなかった繊細な部分まで伝わり、現存のピアニストでは最も好きなピアニストのひとりとなりました。

今月も東京音大でリサイタルがあるのはご存知ですか?また翌日は公開インタビューや公開レッスンもあるとのことで、僕はなんとか都合つけて行くつもりです。また秋のすみだも楽しみですね。

もしかしたらエビネンコさんは僕の好きなアレクセイ・リュビモフも好まれるかもしれません。ネイガウス最晩年の弟子で、バロックから前衛までどれも素晴らしい演奏をします。もし未聴でしたらぜひ!ただしやはりライブが圧倒的に良いです。

長々と失礼しました。これからこちらのブログ、チェックさせていただきます。僕も最近ブログ始めたらばかりで、よろしかったらご覧ください。
www.minorinome.com
ヴィルサラーゼの件
myaさん



はじめまして。
コメント、ありがとうございます。
コメントが遅くなってごめんなさい。

エリソ・ヴィルサラーゼは
来秋11/21にすみだトリフォニーホールで
ピアノ・リサイタルを行うそうです。
会場でお会いしましょうw。

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