美術館で学芸員に質問をした時のこと

2015.03.08.Sun.09:47
先日、上京した時にブリジストン美術館へ行った時のことです。
ビル建て替えのため5月から5年ほど休館するということで
「ベスト・オブ・ベスト展」とうかたちで
美術館が所蔵する逸品が展示されていました。

私が絵画を鑑賞する時、
①まずその絵が好きかどうか?
②描いた人のメッセージや表現したかったことは何か?
という直感に頼った主観的な見方をします。
その後に、
③描いた人の表現の工夫や手法やこだわりは何か?
構図、色彩感、描法などを客観的に見ようとします。

oka.jpg

この展覧会の日本の洋画の展示室で、
私が「おやっ?」と思ったことがありました。
岡鹿之助画伯が描いた「雪の発電所」(1956年)をみた時のこと。

「雪の発電所」は、私は比較的好きなほうです。
静謐でファンタジーがあり、構成もしっかりしています。
マティエールにも独自性があります。
画伯自身、この実在の景色に感動したのでしょうね。
それを自分の世界に封じ込めた作品になっていると思います。

その後、私はその作品のそばにある解説にある
「…構図を決定するのに黄金比を利用したりしました。」
という記述が気になりました。
黄金比というのは、ギリシャ文明以来用いられている1:1.618の
プロポーションの比率のことです。

山を三角形に見立てた安定した構図に、
電柱の垂直線が効果的に使われていますが、
私には画面から黄金比を見出すことができなかったので、
美術館の学芸員に質問しました。

「絵の解説には黄金比が使われているとありますが、
 どの部分に黄金比が使われているのか教えてください〜」と。

5〜6分経ってから、学芸員がこう答えました。

「調べてみたら、岡鹿之助自身がこの作品に関して、
 “山の輪郭や積雪の水平線を検討するにあたり
 あまりに黄金比率が目立ったので比例はこわした”
 と書き残しているので、
 この絵には黄金比が使われていないようです。」

「では、この解説はヘンだということになりますね。」

「ええ、そうです。すいません。」

「この解説は、修正した方がいいかもしれませんね。」

というやりとりの後、
この作品の前を立ち去りました。
(ブリジストン美術館が修正したかどうかは確認していません。)

私が不愉快だったのは、
一般的な岡画伯の構図の手法を
杓子定規のように解説として引用してしまった
学芸員のやっつけ仕事に対してでした。

普段は大雑把な私ですが、
自分のツボに入ると
細かいところが気になるタイプです。
しかしながら、「相棒」の杉下右京警部のレベルには
全然、及びませんw。

oka3.jpg
スポンサーサイト
コメント

管理者にだけ表示を許可する