86歳のイェルク・デームズのピアノ・リサイタル

2014.11.25.Tue.23:56
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■イェルク・デームス ピアノ・リサイタル
■2014年11月24日(月)14時@日立シビックセンター音楽ホール
♪モーツァルト:幻想曲ニ短調K397
♪ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番『月光』
♪シューマン:こどもの情景
♪ショパン:バラード第3番変イ長調op47
【休 憩】
♪ドビュッシー:ベルガマスク組曲
♪フランク:前奏曲コラールとフーガ ロ短調
【アンコール】
♪シューベルト:「楽興の時」第2番変イ長調D780-2
♪シューベルト:「楽興の時」第3番ヘ短調D780-3

昨日、わが家に最も近い日立シビックセンターの音楽ホールで
86歳の老ピアニスト、イェルク・デームスのリサイタルを聴いてきました。
私がこれまでライブで聴いた最高齢のピアニストです。
(ちなみに最年少は2011年12月佐川文庫で聴いた小6の牛田智大くん)
私が持っているCDの中にデームズの独奏のものはなく、
声楽家との共演またはピアノ二重奏のものだけで、、
今回のリサイタルは、有名なのに独奏を聴いたことのなかった高齢ピアニストが
どんな演奏をしてくれるのか、「怖いもの見たさ」があったのは正直なところですが、
よい意味で私の心配を裏切ってくれたリサイタルになりました。

感想のポイントは以下の通りです。
①地味であるが、滋味深いパフォーマンス
②年齢相応の演目であるが、よく練られたプログラム

①地味であるが、滋味深いパフォーマンス
最近、聴いた若いチョ・ソンジンや河村尚子のピアノ・リサイタルとくらべて思うのは
彼らは美しい花を咲かせていても、茎はまだか細い感じが残る一方で、
老齢のデームズの花は慎ましくても、その茎は幹のように太い。
音楽的な艶があり、内声がよく響いていました。
高齢を感じさせることなく、瑞々しい感性はいまだに健在。
仕様していたピアノは、ホールが所有しているベーゼドルファーでしたが、
そのことにも多少は起因していたのかもしれませんが…。

②年齢相応の演目であるが、よく練られたプログラム
デームズが用意した演目は、超絶技巧を駆使した音楽というよりも、
ゆるやかなテンポの中でじっくりと弾きこむような演目が用意されていました。
無理をせず、自分がこれまで培ってきたものを聴いてほしい
という気持ちが感じられます。
演目を私なりに整理してみると
前半の最初の2曲(モーツァルト・ベートーヴェン)は母国の音楽。
後半の最後の2曲(シューマン・ショパン)は物語性をもった音楽。
後半の2曲は、フランス圏の音楽。
アンコールはシューベルトの「楽興の時」からの2曲、となり
休憩時間を「鏡」とするなら、前半と後半は対称形になっているように見えます。
前半に月光ソナタ、後半の「月の光」がそれを強調しているかのようです。

モーツァルトの幻想曲とベートーヴェンの月光ソナタは、
アルペジオや分散和音が印象的ですが、非常にゆるやかなテンポで弾かれていました。
ピアノを鳴らすというよりも、楽器全体を響かせるようなイメージ。
透明水彩を塗り重ねていくように音色が深まっていく感じでした。

ショパンのバラード3番の物語性というのは、
作曲者がある詩からインスパイアされて、「水の精」という別名があります。
ショパン嫌いの私ですが、「子供の情景」につづいて演奏された
バラード3番のオンディーヌの物語は、音楽的な流れがよく考えられていて
なかなかイイと思いました。

もっとも印象的だったのはアンコールの「楽興の時」です。
シューベルトのように「歌」が泉のように湧いてくるというのは、
こんな演奏なのでしょう。
巧い演奏というのでなく、ウィーンの「地唄」を聴いた感じでした。
機械のような技巧派では絶対に弾けないシューベルトでした。

■演奏会の評価(5点満点)
1|演奏内容の満足度:4.3
2|ホールのホスピタリティ:3.0
3|聴衆の態度・集中度:3.0
4|総合的な感銘度:4.0
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コメント
No title
はじめまして。
牛田智大君の大ファンの花音と言います。

牛田君の話題があるブログにお邪魔しています。私は、アメブロでブログを書いていますが、今回、エビネンコ様の記事を読ませていただき、「佐川文庫」「牛田智大」で思い出しました。

私が、牛田君のファンになる前のこと、
調べていた時に、エビネンコ様のブログを読ませていただいたことを思い出したのです。

これは、素通りできないと思って、コメント書いています。

CDデビュー前の牛田君の演奏を聴かれたなんて、
本当にうらやましいです。
今でも、その時のことは覚えてらっしゃいますか?

アメブロでしか、コメントをしたことがないので、このコメントの仕方でよいのか、
わからないので、間違っていたら、すいません。
牛田くん
花音さん

はじめまして。
コメント、ありがとうございます。
牛田くんのデビューリサイタルのこと
よく覚えています。
衝撃的でしたから…。
ワインのようにじっくりと熟成させたら
とてつもないピアニストに成長すると確信してます。
しかしあのようなルックスなので
マスコミや音楽関係業者が
放っておかないようですね。

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