新ダヴィッド同盟 (5回目の演奏会 )

2014.11.04.Tue.00:02
■新ダヴィッド同盟 (5回目の演奏会 )
■2014年11月2日(土)14:00開演@水戸芸術館

(Bプログラム)
♪シューベルト:ピアノ三重奏曲 第1番変ロ長調D898(庄司・グリーン・小菅)
♪コダーイ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 作品7(佐藤・グリーン)
【休 憩】
♪ブラームス:ピアノ五重奏曲 ヘ短調 OP34(全員)

【アンコール】
♪ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲第2番イ長調作品81~第3楽章スケルツォ(全員)

【出演】
庄司紗矢香(ヴァイオリン)
佐藤俊介(ヴァイオリン)
磯村和英(ヴィオラ)
クライヴ・グリーンスミス(チェロ/ゲスト)
小菅優(ピアノ)

金曜日(10/31Aプロ)の新ダヴィッド同盟第4回目の演奏会に引き続き、
日曜日(11/2Bプロ)も水戸芸術館で第5回目の演奏会を楽しんできました。
演奏内容は、日毎にアンサンブリの精度も上がり、5回目のBプロの方が
全体的にまとまりが良かったように思います。
私見ですが、3人、2人、5人という形態のアンサンブルでも
それ以上の人数で演奏しているような厚い響きが感じられました。

前半1曲目のシューベルトのピアノ三重奏曲第1番は「春」のような響き。
メロディ・メーカーのシューベルトらしい美しい歌が
泉のように流れてきて気分よく聴けました。
いつも思うのですが、第1楽章冒頭の力強く勇壮なユニゾンは
ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第7番変ロ長調の雰囲気に似ています。
(あっ、調性も同じ変ロ長調じゃん~w)
シューベルトがいかにベートーヴェンを尊敬していたかが感じられます。
もうひとつ、
この曲のニュアンスや響きは
シューベルトのピアノ五重奏曲イ長調「鱒」D667にそっくりな幸福感があります。
名人たちが演奏すると、3人であっても5人に匹敵しますね。
生で聴くと、シューベルトが得意な大胆な転調に
いっそうドキッとしながら聴けましたw。

前半2曲目、コダーイのヴァイオリンとチェロのための二重奏曲は
金曜日にも演奏された曲ですが、精度がより深まったように思われます。
金曜に聴いた時、ヴァイオリンとチェロの対話から自然の描写が立上ってくるよう~
と私は思いましたが、日曜の演奏ではちょっと違った印象がありました。
私は演奏を聴きながら思い出していたのは今夏、下北沢の小さな芝居小屋でみた
サミュエル・ベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」のことです。
これは、ほぼ二人の役者で演じられる20世紀の不条理劇の代表と言ってもいい。
引き合うと何故か水と油のように離れ合い、一方で離れ合うと寂しくて近づく…。
そんな音楽じゃなかったでしょうか。
時おり響くジャズっぽい響きがなかなかカッコ良かった。

後半はブラームスのピアノ五重奏曲ヘ短調。
この曲は第2回演奏会でも演奏されましたが、格段に今回の方が良かったです。
ブラームスの音楽は「秋」という形容が似合いますが、
今回の演奏は「清秋」という感じでしょうか。
一点の曇りもない空が澄みきった空気の清らかな若い秋。
誰ひとり突出することなく、対等な立場で斉一なアンサンブルをしていた。
演奏者同士のさりげないアイ・コンタクトは大人ならではのもの。
過剰に熱くなることなく、淡々と演奏はすすんでいきましたが、
聴いている聴衆はどんどんヒートアップしていった感じでした。
ブラームスは、やはり力が入らない自然体がイイな。
また内声部が厚かったので、演奏が建造物のような構築感がありました。
(私の演奏の理想像は、聴衆は興奮しても演奏者はあくまでクールに燃えている状態です。
演奏者が感情におぼれる演奏ほどみっともないものはないと思っています。)

来年以降の新ダヴィッド同盟第6回演奏会があるかどうか分かりませんが、
今回のような演奏を聴けたことは千載一遇の好機だったと思います。
願わくは、新ダヴィッド同盟の誕生のきっかけをつくった
故吉田秀和氏の生誕100年だった昨年に
このような演奏会が行われたらよかったと思います。
『吉田秀和生誕100年記念コンサート』と冠するには
これほどふさわしいものは他にはないと思うからです。
なぜか昨年、その件について
水戸芸術館からは一言の説明も無かったのが不思議でした。

■演奏会の評価(5点満点)
1|演奏内容の満足度:4.5
2|ホールのホスピタリティ:2.5
3|聴衆の態度・集中度:4.5
4|総合的な感銘度:4.6
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