最悪だった鎌倉芸術館(R.ルプーを聴く1/2)

2013.10.23.Wed.13:06
私が偏愛するピアニスト、ラドゥー・ルプーが今秋に来日し、
鎌倉、大阪、東京で3回のピアノリサイタルがありました。
私は鎌倉、東京の公演で彼の演奏を聴いてきました。

ルプーは、一昨年は9年ぶりに来日をしましたが
体調不良により京都で1回公演をした後に緊急帰国。
昨年も手の怪我でドクターストップがあり
キャンセルされた公演がありました。

今回、ルプーは体調が思わしくない時、
音楽会がキャンセルすることも十分に考えられるので、
聴ける時に聴いておかないと、一生後悔すると思いました。
それで2公演のチケットをあらかじめ買っていたというわけです。

私の感想は
鎌倉と東京、それぞれのリサイタルについて書くというのではなく
ふたつあわせて、感じられた2つの思いについて、
自分の備忘録として書きたいと思います。

1回目はよい音楽会を聴くための条件について。
2回目はルプーの演奏そのものの感想。



すばらしい音楽会を聴くための条件、それには、
・演奏者には、よい演奏をする。
・観客は、人に迷惑を掛けないように演奏を静かに聴く。
・ホールは演奏者や観客が気持ちよく音楽を楽しめるような環境をつくる。
ということが出揃うことが最低条件だと思います。

この件について、
ルプーを聴いた10/12鎌倉芸術館と10/17東京オペラシティは
とても対称的でした。

ルプーの音楽の特徴は、弱音です。
それを台無しにするのはノイズ(雑音)です。

鎌倉芸術館では、
ルプーを聴くための条件が
揃っていなかったと思います。
ルプーの演奏は良かったので、
まさにブタに真珠と言えるでしょう。

私、ノイズに負けないで
演奏に集中して聴こうと思いましたが、
その思いを何度もノイズに邪魔されてしまいました。
音楽を聴く幸福な時間を破るのがノイズ…。

以下のような問題がありました。

①ホール内に風切り音または空調の不具合のようなノイズが終始、響いていた。
②未就学児が演奏中に騒いだ。
③演奏中、キャンディをなめるためのカシャカシャ音が絶えなかった。
④棒状のものが倒れる音が数回あった。
⑤携帯が数回、鳴った。
⑥携帯ストラップや杖についている鈴がチャラチャラと何度も鳴った。

①についての苦情は、
多くの方々がツイッターやブログなどで苦情を書いていました。
私、前半が終わった後、係員にクレームを言いましたが、
後半に改善されることはありませんでした。
帰宅後、私、鎌倉芸術館へ電話で問い合わせをしました。
鎌倉芸術館の担当者は、
演奏会前にはノイズが無かったけれど
演奏会中、そして演奏回後に風切り音がでることは確認したそうです。
しかし、演奏がはじまってから、ノイズが出るなんて考えにくい。
事前のチェックが甘かったのは明らか。
ホールそのものが音楽を聴く邪魔をしていたと言えます。

②について、
シューベルトのイ長調ソナタD959の
第1楽章の弱音の極みのところで
私の席の後方で子どもが泣き叫びました。
終演後、確認したら未就学児が母親といっしょに座っていました。
子どもには罪はありません。
許しがたいのは未就学児を連れてきた母親と、
それを許した鎌倉芸術館です。
このような演奏会は、普通、未就学児の入場は遠慮してもらっているはず。
モラルを疑ってしまいます。

20年ぐらい前、ダニエル・バレンボイムが
サントリーホールでピアノリサイタルをした時、
演奏中に泣き叫ぶアクシデントが起きたことがあります。
新聞にもこの問題が載りました。ボレンボイムは
「今後の自分の演奏会では、子どもの入場を禁止にするかも~」
と語っていたそうです。

③~⑥は論外。
音源の発生源になる人はダメなのは言うまでもありません。
場内の係員は、ノイズを出しそうな客に一声掛けるなり
場内放送で十分に注意を衆知させることができると思います。
座席で観察していましたが、
それがぜんぜんされていない!
たしかに
通り一辺のアナウンスはありましたが、
聴いていた人がいるのかと思うぐらいひどかった。
鎌倉は文化都市だと思っていましたが、
ホールや聴衆のレベルはこの程度なのかと
非常にガッカリしました。
(ちなみにフライング・ブラボーはありませんでした。)

鎌倉芸術館ができて20年経つようですが、
ホールスタッフも聴衆も全然、育っていないと感じました。
私、ここには二度と行くことはないと思います。

一方で、
5日後に東京オペラシティ コンサートホールできいた
ルプーの音楽会は、さらにイイ演奏をしてくれたし、
まあまあ気持ちよく聴けました。

なによりも、多くの聴衆が
ルプーがなんたるかを知っている雰囲気がありました。
客層がよいのだと思います。
一音たりともルプーの音を聴きのがさない
という聴く側の緊張感や気迫のようなものが漂っていました。
しかも残響が長めのこのホールに、
美しい弱音(微音)がよく響いていたと思います。

同じ演奏者、同じプログラムでも
まったく同じ演奏になるとは限りませんが、
ホールや聴衆がちがうと
このように印象が異なることを
実感したのははじめてでした。

すばらしい音楽会をつくるためには
演奏者・聴衆・ホールによる
三位一体のよい関係が必要条件ですね。
最悪だった鎌倉芸術館へ行くためにつかった時間とお金は
そのことを知るための授業料だったと思うことにしました。

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