オーケストラのボランチ~水戸室内#88定期

2013.10.10.Thu.12:02
■吉田秀和 生誕100年記念コンサートⅡ
■水戸室内管弦楽団 第88回定期演奏会
■2013年10月5日(土)18時半@水戸芸術館
◆指揮・ホルン:ラデク・バボラーク/ホルン:アンドレイ・ズスト
♪レイハ:演奏会用序曲 ハ長調 作品24
♪ロゼッティ(伝ハイドン):2つのホルンのための協奏曲 変ホ長調
♪イベール:ディヴェルティスマン
 【休 憩】
♪ハイドン:交響曲 第101番 ニ長調 Hob.I-101〈時計〉

【参加メンバー】
ヴァイオリン:安芸晶子、井上静香、木嶋真優、久保田 巧、塩田脩、島田真千子、田中直子、
         豊嶋泰嗣、猶井悠樹、中村静香、沼田園子、松野弘明、渡邉實和子
ヴィオラ:大島 亮、川崎雅夫、川本嘉子、店村眞積
チェロ:上村 昇、原田禎夫、堀 了介、松波恵子
コントラバス:池松 宏、河原泰則
フルート:岩佐和弘、工藤重典
オーボエ:フィリップ・トーンドゥル、森枝繭子
クラリネット:山本正治、佐藤友香
ファゴット:岡本正之、山田知史
ホルン:阿部 麿、アンドレイ・ズスト、猶井正幸
トランペット:デイヴィッド・ヘルツォーク、若林万里子
トロンボーン:新田幹男
ティンパニ、パーカッション:ローランド・アルトマン
パーカッション:望月岳彦
ピアノ・チェレスタ:小林万里子

先週末の夜は水戸室内管弦楽団(MCO)の定期演奏会の初日を聴きました。
普段なら、アンサンブルがより練成される2日目を聴くことが多いのですが、
仕事の都合により今回だけ変更しました。

今年のMCOの定期演奏会は、今回で3回目。
1月の#86定期の大野和士氏指揮のシューベルトの交響曲第6番D589、
7月の#87定期の準メルクル氏指揮のシューベルトの交響曲第8番D944が
深から感動した圧倒的な名演だったことは記憶に新しいです。

ただ今回の#88定期は、
ホルンの世界的名手のバボラークが指揮をする異色の演奏会。
ゲネプロには小澤征爾氏も駆けつけ、
演奏に対してアドバイスをしていたようです。

この演奏会、私は
彼の指揮よりもホルン独奏を目当てに行ってきたというのが本音です。
全体的な感想としては、
まあまあ音楽の愉しみが実感できた内容だったと思います。

その意図はプログラムからも感じられます。
作曲家のレイハとロゼッティは、バボラークと同郷チェコ出身。
自分の国の音楽を披露したということでしょうか。
一方で、
イベールのディヴェルティスマン(嬉遊曲)とハイドンの「時計交響曲」は、
洒落っ気とユーモアにあふれた音楽なので、
難しい顔をして聴く類のものではありません。

だから
こ煩い感想を書くのは野暮というもの~w。
演奏後の指揮者、オーケストラのメンバー、聴衆らの喜びに満ちた表情と
吉田秀和さんの生誕100年記念のお祝いが迎えられただけでも
十分でしょう。

特筆すべきことは
ロゼッティ(伝ハイドン)の2つのホルンのための協奏曲の演奏でしょうか。
難曲なのに、軽々と演奏しているので、難しいと感じられないのがスゴイです。
おそらく世界最高峰のホルンの共演と言ってよいでしょう。
元ベルリン・フィル主席のラデク・バボラークと
現ベルリン・フィルの若手団員アンドレイ・ズスト、
二人のホルン独奏には本当に魅了されました。
彼らの音が溶け合って、
フライパンの上で溶けるバターのような
香ばしい匂いさえ感じられます。

第2楽章アダージョのロマンスのハモりは素晴らしかったなぁ。
遠くから狩りの角笛がこだまするよう~。
急峻なアルプスに広がる垂直性がある響きというよりも
深い森にこだまする水平性がある響きでした。
しかしながら
あまりにも贅沢すぎるソリストたち。
ひとりづつでも聴いてみたい!
リヒャルト・シュトラウスのホルン協奏曲の1番と2番を
バボとズスト各々に独奏してもらいたいと思いながら聴いていました。

また
今回の演奏会であらためて思ってのは
オーケストラにおける
ホルンとオーボエの立場というものでしょうか。
この楽器、サッカーでいうなら
ボランチ(守備的中盤)というポジションに似ています。

ボランチはモダン・フットボールの頭脳とも言え、
ボールを前線に配給する攻撃の起点になります。
選手間のバランスを考えながらスペースを埋めるという豊富な運動量と、
ここぞという場面では前線まで駆け上がり攻撃参加するという
ピッチを縦横無尽に動く役目を担っています。

ホルンとオーボエは、
さまざまな音域の楽器の間を埋める地味なイメージと
重要な場面ではアグレッシブな独奏もあり、
かつその演奏が難しさは
運動量が求められるボランチと通じるところがありそう。

よいボランチの選手がいるクラブは強いことが多いのですが、
ホルンとオーボエが特に上手いと
そのオーケストラ全体が素晴らしいことが多いと思われます。
そういう点で、MCOはホルンとオーボエの奏者には
かなり恵まれている方だと思います。

今回は独奏以外でも
ズストはメンバーに混じってホルンを吹いてくれました。
またオーボエのフィリップ・トーンドゥルはあいかわらずの巧さ。
彼らに助けられたバボラークの指揮だったと思いました。
(MCOのストリングスが素晴らしいのは言うまでもありませんが…)

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