ラドゥ・ルプーの鎌倉追加公演

2013.09.14.Sat.11:13
昨朝、SNSの知人のつぶやきで
来月のクラウディオ・アバド指揮による
ルツェルン祝祭管弦楽団の来日公演が
中止になったことを知りました。
理由はアバドの健康上だそうです。
それを聴いて私、震撼しました。

この公演には私が偏愛するピアニスト、ラドゥ・ルプーが
ベートーヴェン作曲の ピアノ協奏曲第3番ハ短調を共演するために
来日することになっていました。
ついでに1回だけのピアノリサイタル@東京オペラ・シティがあり
私、早々にこのチケットを買い、楽しみにしています。

ルツェルン祝祭管の来日中止に伴って、
ルプーの公演中止になったら、
超・がっかりだからです。

あわてて招聘元の音楽事務所のサイトをみたら、
予定通りにルプーのピアノリサイタルが行なわれるようで安心しました。
そこには東京の1回だけでなく、大阪と鎌倉の2公演が追加された旨がありました。
全然、知りませんでした。

10月12日 (土) 18:00 @鎌倉芸術館
10月14日 (月・祝) 19:00@大阪・いずみホール
10月17日 (木) 19:00 @東京オペラシティ

あっ、10月12日の日中、
私、所用で東京へ行くことが決まっています。
私、東京だけでなく、鎌倉公演にも出陣すること決定。
急いで鎌倉芸術館へ電話してチケットを予約しました。
まだ残席があって良かったです。

プログラムは同じでもまったく問題ありません。
リサイタル・プログラムは以下の通り。
♪シューマン: 子供の情景 op.15
♪シューマン: 色とりどりの小品
♪シューベルト: ピアノ・ソナタ第20番 イ長調 D959(遺作)

招聘元の音楽事務所には
「I_LOVEルプー」という企画で、音楽家や評論家が
ルプーについて語るコーナーがあります。
それらを読む限り、
今、聴くべきピアニストは

「ルプーでしょ!」

という気持ちになります(笑)

■ピアノストの小菅優さん

Q:いままで聴いたルプーの生演奏で特に心に残っている曲は?

何年か前、日本からフランクフルトに飛んで着陸したその足で、
電車に乗り、ピアノ・フェスティバルのリサイタルで聴きました。
そのときのシューベルトの最後のソナタが素晴らしくて、
時差ボケなんかふっとんでしまったのをよく覚えています。
去年日本では、最初のリサイタルがあまりに素晴らしかったので、
飛行機を伸ばして日本の滞在を延長し、
2つめのリサイタルも聴きに行きました。
そのリサイタルで、フランクの『プレリュード、コラールとフーガ』の
演奏を聴いたときの感動は忘れられません。
出だしから魔法の世界に連れて行かれたようで、
ライヴでしか味わえないような深々と伝わってくる痛みと孤独感、
最後のフーガで救済主が現れたかのような音楽に包まれ、感無量でした。
ルプ―独自の引きつけられる空間のなかには、
ただ「綺麗」とか「美しい」などの言葉では表しきれない
現実の「真実」が見えてきます。
そんな瞬間をまた味わいたいです。

Q:ルプーの録音の中で好きな曲は?
シモン・ゴールドベルクとの
シューベルトのヴァイオリンとピアノの作品集。
この自然なリズム感と絶妙な色彩感、絶品です。

■ピアニストの児玉桃さん

Q:いままで聴いたルプーの生演奏で特に心に残っている曲は?

ラドゥ・ルプーが演奏する時には、できる限りいつも聴きに行きます。
そのたびに、天賦の才を与えられた音楽家が、
あふれ出るヒューマニティ(人間性)、深み、そして謙虚さを持って
神聖な芸術に仕える様を目の当たりにし、多くのことを学びます。
これまで多くの記憶に残る名演に触れてきましたが、
あえて「心に残っている」演奏を挙げるならば、
ルプーがブラームスとシューマン(「交響的練習曲」)を弾いた
ジュネーヴでのリサイタルと、シューマンの協奏曲を弾いたパリでの公演です。
東京でシューベルトのソナタ(ハ短調)も聴きましたが、
私がこれまで体験した最も感動的で崇高な演奏会でした。

Q:ルプーの録音の中で好きな曲は?

彼の室内楽の録音についてはあまり知らないのですが、
リリースされている全てのソロの録音は何度も何度も聴いて、
隅々まで覚えています!

■ピアニストの海老彰子さん

Q:いままで聴いたルプーの生演奏で特に心に残っている曲は?

・初来日の時に聴いたバルトークの衝撃的なピアノ組曲「戸外にて」
・日本や外国で何度も聴いた素晴らしいブラームスの協奏曲第1番
・東京芸術劇場でジャン・マルク・ルイサダさんと仲良く3階最後列に並んで聴いた、
忘れ難い絶品演奏、「シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集」
・パリでアルゲリッチさんの演奏と、日を前後して聴いたシューマンの協奏曲
(キラキラ輝くソリスティックなマルタ版、
同曲が大きく深い室内楽に変身してしまったラドゥ版--- どちらも名演 !)
・フランスのラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭で聴いたシューマンの幻想曲、
同じ演奏会で聴き名演だったヤナーチェックのピアノ・ソナタ
・ルプーと言えば、即、シューベルトが頭に浮かびます……。
昔から現在に至るまで数多く聴いた名演、
シューベルトのソナタ。昨年、東京オペラシティの会場空間に、
見事に放たれた舞曲集や即興曲。

Q:ルプーの録音の中で好きな曲は?

ペライアとの共演CDの
シューベルト「幻想曲 op.103」、
モーツァルト「ソナタ K.448」。

■音楽ライターの飯尾洋一さん

Q:いままで聴いたルプーの生演奏で特に心に残っている曲は?

2012年東京でのシューベルトの
「ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調」が強く印象に残っています。
長らく来日がなく(しかも前年は東京に来る前にキャンセル……)、
かつて盛んに録音をリリースしていた頃に作られたイメージと、
昨今の「幻のピアニスト」といった評判との間に、
なんとなく居心地の悪い乖離を感じて落ち着かなかったのですが、
ようやく今のルプーに接することができて溜飲を下げました。
一音一音を慈しむように奏でる幽玄なシューベルトは、
ほかの誰からも聴くことのできない音楽だったと思います。
独特の姿勢で椅子に腰かけるルプーの姿は、
まるで儀式をつかさどる祭司。
余韻を大切に味わいたいと感じる公演でした。


Q:ルプーの録音の中で好きな曲は?

シューベルトの「ピアノ・ソナタ第13番 イ長調 D664」。
久しぶりにいくつか録音をひっくり返してみたのですが、
やはりシューベルトはどれもすばらしいと思います。
特にこの「ソナタ第13番 イ長調」。
気恥ずかしいくらいの愛らしさ、親密さにどっぷりと浸れます。
近年、ルプーが録音もしなければ放送収録も許してくれないのは、
演奏の一回性に対するこだわりなのだろうと察するのですが、
一方で過去の録音は大安売りされていて、
なんだか申しわけないような気分になりつつ聴いてしまいます。

■音楽評論家の青澤隆明さん

Q:いままで聴いたルプーの生演奏で特に心に残っている曲は?

すべて。
いずれも、どのときもかけがえない経験でしたから。
いちばんを選ばなくてよければそう答えますし、
もし選べと言われたら、次のように囁きます--
たぶん、そう遠くない未来のどこかで、それは起こるでしょう。
それでも、と聞かれれば、たとえばエネスコのソナタ。
あのような音の陰翳と色彩を、他のひとのピアノ演奏から聴いたことはないです。
少なくとも、ここ十数年のうちには。
昨冬のプログラムは、すべて素晴らしかった。
シューベルトはもちろんですし、
ドイツ舞曲も即興曲も、変ロ長調ソナタも、
ルプーはルプーであるのに、毎回が違う探索でした。
そして、聴き手も、ずっとシューベルトの近くにいられた。
フランクの「前奏曲、コラールとフーガ」でも、
ドビュッシーの『前奏曲集』第2巻でも、
それぞれ異なる作品の芯をじっと見据えて、
その世界を豊かに掘り下げていく、
ルプーのまなざしの深さに打たれました。

Q:ルプーの録音の中で好きな曲は?

ご本人がずいぶんと長い間、
レコーディングから離れているという事実、
その心理と選択を、やはり聴き手としても尊重したいと思います。
心の蓄音機をよりよく整えて、
過去やこれからの実演をともに生きられるように努めます。
ですが、シモン・ゴールドベルクとの
デュオ・レコーディングをここで挙げることには、
少しのためらいもありません。
少なくとも半分はもう天国の話ですから。
モーツァルトも素晴らしく美しいですし、
さらに数年後に臨んだシューベルトのソナタ、
そしてファンタジーが私はとても好きです。
どちらも1970年代の演奏ですが、
とても地上のものとは思えないところもあります。
こうした録音が幸いにも残されたのは、
後からくる世代の者にとっては、
素直に感謝すべきことでしょう。
マレイ・ペライアとのデュオに関しては、
1980年代のコンサートやレコーディングにとどまらず、
私はまだこれから実演を聴く望みを捨ててはいないですし、
ぜひ現在の二人の対話でこそ、
シューベルトやモーツァルトを聴いてみたいと強く願っています。

■チェリストのスティーヴン・イッサーリスさん

Q:いままで聴いたルプーの生演奏で特に心に残っている曲は?

ラドゥの演奏にはいつも心奪われます。
音楽が心の奥深くから生じているから――
そしてその心の中に、作品を通して“伝えたいこと”が
充満しているからだと思います。
これまで聴いたラドゥの生演奏で
特に印象に残っているものを挙げるとすれば――
それは私の人生の中で最も素晴らしい音楽体験だったといえます――
ウィグモア・ホールで聴いた2回の演奏会です。

ひとつめは、ガラ・コンサート。
キャンセルした誰かの代役で急遽、ラドゥが出演したのです。
その時はシューベルトのピアノ・ソナタ変ロ長調D960を弾きました。
演奏を通して天国と地獄とを見せられた気がしました。
本当に素敵な演奏でした。

もうひとつは、私の50歳の誕生日を記念するコンサート!
ラドゥはシューマンの「アラベスク」と「子供の情景」を弾いてくれました。
おまけにフェリシティ・ロットとマーク・パドモアと一緒にフォーレの歌曲を、
アンドラーシュ・シフとのデュオでシューベルトの「4手のための幻想曲 ヘ短調」を
演奏してくれました。
とりわけ「子供の情景」は生涯忘れ得ぬ素晴らしいものでした。
私たちの目の前でそれぞれの「情景」が命を与えられていく・・・
そんな演奏でした。

Q:ルプーの録音の中で好きな曲は?

ええと・・・彼自身は録音をあまり好んでいないのですよね。
それでもやはりラドゥは、マレイ・ペライアと共演した
シューベルトの「幻想曲 ヘ短調」の録音が名演であることは
認めなければならないですね!
時期は問わず、昔のものでも比較的最近のものでも、
彼のシューベルトのソナタの録音は全て大好きです。


■音楽ライターのオヤマダアツシさん

Q:いままで聴いたルプーの生演奏で特に心に残っている曲は?

来日公演のいくつかで聴いた、
ベートーヴェンとシューベルトのピアノ・ソナタ(何番ということではなく)です。
それまでルプーの録音をピアノ協奏曲中心で聴いてきた自分に、
「これではいけない」と思わせてくれた大きなきっかけでした。
ただしベートーヴェンのソナタは現在においても録音自体が少ないため、
いまだに飢餓感と空白を埋められていません。

Q:ルプーの録音の中で好きな曲は?

いちばん最初に聴いたのは、
アンドレ・プレヴィンと共演したグリーグとシューマンのピアノ協奏曲。
当時からのキャッチフレーズである「1000人に1人のリリシスト」が
音楽と共に脳へ刻印され、
それは自分にとって「リリシストとは何か」を考察するきっかけになりました。
特にグリーグの第2楽章、
オーケストラが演出する白夜の中で流星のようにまたたくピアノの音には、
(最初に聴いてから)30年以上たつ今でも息を呑みます。
ちなみに「リリシスト」を探す旅は、いまだにゴールへたどり着いていません。

■音楽評論家の那須田務さん

Q:いままで聴いたルプーの生演奏で特に心に残っている曲は?

ルプーは「千人に一人のリリシスト」の異名を得ていた頃から聴いています。
でもその後は特に注目することなく過ごしてきました。
数年前、「今聴くべきは、ルプーただ一人」と教えてくれたのは、
チェンバロ&フォルテピアノの鬼才アンドレアス・シュタイアーでした。
「滅多に弾かないけれども、もし彼が弾いたなら本当に凄い演奏をする」とも。
どうやらルプーを聴くには幸運の女神を味方につける必要がありそうです。
実際、その後何度か来日していますが、
なかなか聴く機会が得られず、
ようやく実現したのが昨年でした。
11月13日の東京オペラシティのドビュッシー《前奏曲集第2集》他)。
その時の感動は、
『音楽の友』誌の「2012年コンサートベスト10」で書いたので詳しくは述べませんが、
一つ一つの音の響きに永遠の時を宿したようなドビュッシーは、
まさに生涯記憶に留めおくべき名演でした。

Q:ルプーが新しいレパートリーに取り組むとしたらどんな曲を聴きたいですか?

今のルプーの魅力は彼自身の生き方、
音楽との向き合い方など、彼自身のすべてと関わっているので
演目は問いませんが、
聴いてみたい曲を強いて挙げるならバッハでしょうか。
もちろんCDではなく、コンサートで。
あれほど高い次元の音楽は滅多に聴けません。
だからこそ、価値があるのでしょう。


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