百の記念・篠田桃紅の墨象

2013.05.27.Mon.01:25
数週間前、「日曜美術館」のアートシーンの中で、
「百の記念展・篠田桃紅の墨象」
という展覧会が紹介されていました。
アーティスト自身が100歳の超高齢ということよりも
むしろ作品そのものが墨による抽象画
という点に興味を持ちました。



先日(5/17)の東京出張の時、
なんとか時間を捻出して
虎ノ門の智美術館でこの展覧会を見てきました。

【Wikipedia】では、篠田氏の作風を
字の文字の決まり事を離れ、新しい墨の造形を試みた。
その作品は水墨の抽象画=墨象と呼ばれる
と記されていました。

私も、「書」というより
抽象画を見るような気持ちでした。
特に余白の取り方には
非凡なセンスを感じました。
それは何もない空間の中に
何かを置くという建築的感覚と似ていると思ったし、
一方で、私が好きな「もの派」の画家、
リ・ウーファンの作品にも通じるものがあると思いました。
何も描かれていない余白が
深遠な意味があるように見えてきたほどです。



ロビーに置かれていた
「ある女主人の肖像」という作品は、
余白が広くとられたシンプルな作品で、
空間の中に彫刻が置かれているようでした。
それはアルベルト・ジャコメッティや
アレキサンドル・アーキペンコの彫刻作品のよう~。

それともうひとつ特記すべきことがあります。
その日、なんと作家本人が偶然、現れたのです。
スタイリシュな和装で背中がピンと伸びていた。
100歳とは思えない凛とした気品に満ちていました。
会場内は、作家の発するオーラに凍りついた感じ。
現場にいた方々は、篠田氏の立ち振る舞いを見守っていました。
そこで私が見た3つのエピソードを記します。

・屏風として作った作品が床に置かれず、
 平面作品のように壁に掛けられたことに
 「作家の意思が反映されていない~」と不満を言っていた。

・作品が額装されてガラスが張られていた展示方法に対し、
 「紙と墨の本来の色が出てない~」と怒っていた。

・付き添いのスタッフが歩行を介助しようとすると
 「私は自由に歩き回りたい~」と一喝。

なかなか矍鑠(かくしゃく)としたご婦人であり、
毅然とした芸術家としての態度に感銘を受けました。
スポンサーサイト
コメント

管理者にだけ表示を許可する