音楽家に必要なもの~

2013.04.07.Sun.14:13
数年前に水戸市・佐川文庫で
ヴァイオリニストの久保陽子氏のリサイタルがありました。
(私は所用で残念ながら行けなかったのですが…)
この演奏会を聴いたU氏によると
ヴェテランのヴァイオリニストである久保氏は
演目に解説を交えながら演奏したそうです。
私はその時の様子の話しを聞きながら、
久保氏が語ったという言葉の中の

「パガニーニを弾くポイントは瞬発力、
一方でバッハは持久力が特に必要です。」に

なるほど!確かのその通りだと思いました。
音楽家は
短距離ランナーと長距離ランナーの特徴をあわせ持つ
中距離ランナーみたいですね。
この言葉はいろいろな読み替えができるとは思います。
クライマックスでの感情の爆発、緊張感を持続するスタミナ…。
それ以来、この2つのポイントは
演奏を評価する軸と考えていました。

先月末、「クールシュベール国際音楽アカデミーinかさま」が
10日間ほど行われました。
このアカデミーはプロの音楽家を目指す学生さんたちの講習会がメイン。
私、数回、公開レッスンを聴きに行ってきました。
特にヴァイオリンのレベルは非常に高く、
将来の国際コンクールの入賞やソリストとしてのデビューを確信した
若き才能に触れてきました。

ある日の公開レッスンで、
韓国人のヴァイオリン講師ドン・スーク・カン氏が言っていた言葉が
非常に印象的でした。
とても上手に演奏していた生徒に対し、

「とてもよく弾けています。
しかし足りないものは何かと言えば、新鮮さでしょうか。
はじめてこの曲に出会った時のような新鮮さがあまり感じられない。
練習をすればするほど、新鮮味は薄れてしまうかもしれないけど、
人の前で演奏するような時は、
はじめてこの曲に出会った時のような喜びや
今、音楽が生まれているという初々しい気持ちで弾きましょう。」

演奏する側も、聴く側も
経験を積めば積むほど
忘れがちの感覚かもしれませんね…。
カン氏が言うような演奏ができる人って、
ある意味ですごい才能だと思われます。

確かに感動的な演奏って、
演奏についてよく考えぬかれ、よく練習を重ねた上で
プラスαのものって必ずあるはずです。
それっというのは、生まれ持った才能に近いと思います。
「演奏者がはじめてこの曲に出会った時のような喜び」を感じているなら
その感覚は聴き手にかならず伝染しますから〜。

個人的にこの半年間でそのような気持ちの充足感が感じられたのは
ラドゥ・ルプー、クシシュトフ・ヤブロンスキー、小菅優のピアノ・リサイタルでした。
逆に演奏は素晴らしかったのに、完璧に近い演奏すぎて
何かもの足りない感じが残ったのはクリスティアン・ツィメルマン。

CDではスタジオ録音よりも
ライブ録音のもののほうが
そのような感覚を生じることが多いでしょうか。
リパッティの01950年のブサンソンでの最後のリサイタルや
クライバーのベト4のライブ録音はいつ聴いても
音楽に生命力が感じられます。

自分が演奏についての評価軸になる
「瞬発力と」「持久力」に継いで
「新鮮力」あるいは「一期一会のような感覚」が
あらためて加わった感じでした。
AUTHOR: ゲルバー夫人
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IP: 202.229.177.42
DATE: 04/09/2013 13:49:46

こんにちわ
私もリパッティ大好きです。初めてリパッティの音に触れたのはモーツァルトP協21番のレコードでしたが(カラヤン指揮)。自作のカデンツを弾いていて、それがもう忘れられなくて。

何とか譜面を手に入れたいとパリ+ニューヨーク+日本全国探し回りましたが、約30年以上経過した今も望みは達成されていません(泣)

その代わりパリのデュランで見つけたのがピエール・サンカンのオルゴールという曲(これも探していた)、そして最大の収穫はリパッティ作曲ノクターンの譜面でした

ピアニストの[わぉ〜ん氏]もリパッティ大好きで、百万円払ってもライブで聴きたいとか仰っていました。

ちなみにリパッティ氏の命日は私メの誕生日です。


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