被災地を勝って明るく~by小笠原満男

2013.02.14.Thu.23:46
昨日の朝刊の鹿島アントラーズ・小笠原選手のエッセイです。
朴訥とした文章の中から意思の強さが感じられます。
秋田やジョルジから受け継いだ鹿島の勝利のDNAを
小笠原は、柴崎や大迫へ伝えてほしいです。

しかしながら
メッシーナのサポーターのクラブ愛はスゴイですネ。



「被災地を勝って明るく」小笠原満男

年齢とともにプレースタイルは変わってきた。
自分が目立つより、
若手が伸び伸びやれるようにサポートする感覚。
それもベテランの大切な役割だと、
鹿島の先輩たちの姿から学んだ。

若い頃は攻撃的MF。
信頼されて球が集まり、
パスやシュートで必ず得点に絡む選手が理想だった。

33歳になったいま、ボランチを任されている。
意識するのは、一人で相手から球を奪いきるプレー、
そこから前線にパスを出して
攻撃のスイッチを入れるプレーだ。
2006年夏から1年間、イタリアのメッシーナに
期限付き移籍したことが転機になった。

技衛より、まず相手から球を奪う強さが
イタリアでは求められた。
下位チームだったこともあり、
球を取り返さなければ何も始められなかったから。
鹿島に復帰した時も、
オリベイラ監督(当時)から同様のプレーを求められた。

イタリアでは、プレー以外でも
忘れられない出来事があった。
チームが勝てない時期、
練習中に5、6人の男性サポーターが
突然、グラウンドに入ってきて
「気持ちが入っていない」と僕たちに詰め寄った。
「俺たちの給料はお前たちよりゼロが1、2個少ない。
そのお金を旅費に使い、
週末に家族を残して
アウェーまで応援に駆けつけている。
この思いを、お前たちはわかっているのか」

こうした熱意が支えてくれるからこそ、
サッカー選手という存在は成り立つのだ
と再認識させられた。

東日本大震災の後、
「東北人魂を持つJ選手の会」のイベントで
被災した方たちと接する時も、
勝利への願いを感じる。
勝った後なら自然と雰囲気が明るくなるし、
負けた後は「次は勝って」と心配されたり、
反応が微妙だったりする。
だから勝ってイベントに臨みたい。
それは大きなモチベーションになっている。

一日でも長く現役を続け、
一つでもいいプレー、一つでも多くの勝利をサポーターに届けたい。
被災地の子どもたちが、そんな姿を報道などで目にして
「この前、来てくれたおじさんだ!」と喜んでくれたらうれしい。

(2013年2月13日朝日新聞・朝刊)
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