鹿島の勝利のためだけに

2013.02.06.Wed.11:33
私、鹿島アントラーズの小笠原満男選手が
A紙に連載している「東北人魂」というエッセイを
毎週、楽しみにしています。

昨日、掲載されたのはその3回目。
13年前にアントラーズに入団した時の思い出と
プロ選手としてのメンタリティの大事さを
彼らしい朴訥とした文章でつづっています。
こういう気持ちを、大迫、柴崎、昌子、植田には
受け継いでほしいものです。

そうすれば、アントラーズは
「常勝軍団」でありつづけられる
と思います。



「鹿島の勝利のためだけに」
小笠原満男

昨季はナビスコ杯で優勝できたけど、リーグ戦は11位に終わった。
タイトルを一つ取ったことで良しとするチームもあるかもしれないが、
勝ち続けなければならないのが鹿島の伝統。
ふがいなかった。あらゆるタイトルを奪う意気込みは今季も変わらない。

監督には、トニーニョ・セレーゾが8季ぶりに戻ってきた。
とにかく練習好きな人だ。
シーズン中も2時間の全体練習の後、
さらに居残りシュート練習を1時間という日が当たり前にあった。
セレーゾが前回就任した2000年、僕はまだ21歳で、そうやって鍛えられた。
いまのチームには若手が多く、
また、あの頃のような厳しい練習が必要だと考えている。

いまの若手の姿勢を見ていると、
甘いなと感じることがある。

試合に出られない時期が続くと、
すぐ練習で元気がなくなったり、移籍を考えたり。
そんな風潮を感じることがある。
Jリーグでも移籍が頻繁になった影響なのかもしれないが、
僕がプロ入りした1998年は「出番がなければ移籍」なんて考えられなかった。

先輩からポジションを奪うしか、
プロとして生き残る方法はなかった気がする。
練習のダッシュー本から必死。
紅白戦になれば、球際で厳しく挑み、
「危ないだろ!」と怒られても、また挑んだ。
レベルの高い競争に打ち勝ってこそ、
日本代表や欧州に移籍する道も開けてくると思う。

代表は、やっぱりいいものだ。
様々な国に遠征し、様々な相手と対戦できる。
欧州や南米のチームと試合をすれば
「上には上がいる」と実感し、もっと練習したくなる。
この感覚がたまらないし、
また呼ばれれば、喜んで行きたい。

代表に選ばれるためにプレーしたことは若い頃から一度もない。
いまの代表の攻撃は縦に速い印象があるけど、
鹿島は、横の揺さぶりを織り交ぜ、緩急を付けて相手を崩すスタイル。
鹿島のユニホームを着た時は、鹿島のサッカーをして、
鹿島の勝利のためだけに戦う。
代表に入るためにそこを変えるのは、
ちょっと違うと思う。

(2013.02.05朝日新聞朝刊)

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