2018年の年賀状

2018.01.04.Thu.00:17
昨秋、東京出張のついでに東京オペラシティのアートギャラリーで「単色のリズム―韓国の抽象画」という展覧会をみてきました。私、韓国の現代美術家が描く素朴で空間的な抽象画が好きなのです。その時の印象を、時間があった時に透明水彩でドローイングをしてみました。その中の一枚を年賀状のデザインに使ってしまった。とりあえずタイトルは「形象2017」としておきましょう。

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ワンコの絵をみて学芸員さんに褒められた話

2017.12.15.Fri.13:40
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数週間前、東京出張した時のこと。午後イチ、ポロッと時間があきました。夕方の打ち合わせまで時間をつぶそうと、竹橋の東京近代美術館に立ち寄りました。あと数日で私が好きな熊谷守一展がはじまる…というタイミングでした。惜しかった。特別展はあきらめて常設展だけ見ることにしました。午後2時前に館内放送でギャラリー・トークの案内がありました。学芸員があらかじめ3点ほどの作品を選び、それらについてディスカッションするというものです。1時間程度というので参加してみました。参加者は私を含め6人ほど。

2点目に見たのが日本画家・山口華楊による「洋犬図」。屏風なので、かなり大きい作品です。横2.5m縦1.5mぐらいありました。学芸員さんは「まずは説明なしで、自由に感じたことをお話ください」とあり、参加者は自由に発言をはじめました。

犬の毛並みや表情などディテールのついての発言が多かったでしょうか。私はやや離れたところから作品をみた時、構図について気がついたことがあり発言してみました。

「離れてみると、余白としての地と対象の犬さんたちの図のバランスがおもしろいと思いました。三匹の犬が左下に集まっていて、右上が残余の空間になっています。それと私の気の所為かもしれませんが、3匹の犬が組み合わさって“戌”という字が見えるのですが、いかがですか?“戌”という字に右上の点がないのは、絵を見る人が心の中で点を打つというユーモアでしょうかw。構図にとても配慮された作品だと思います。」

学芸員さん「なるほど、そういう見方もできますねぇ。私、気づきませんでした。」とえらく感心していただけました。他の方々も「見える、見える」「ウーン?」と反応はさまざまでした。いろいろな見方ができるのが、美術のおもしろいところです。

ちなみに、この「洋犬図」に描かれているのは、ボルゾイというロシアの犬だそうです。動物を描くことが得意な山口華楊は、ボルゾイを飼っていたセレブの家に通ってこの作品を昭和12年に完成させたそうです。たしかに雰囲気は貴族的なワンコですね。
実は私はワンコが怖い。嫌いじゃないけれど、あまり近くにいてほしくないです。私がこどもの時、ワンコに噛まれた恐怖がまだ忘れられないのです。心理的外傷を意味する「トラウマ」とう言葉、私は「トライヌ」と言い替えたいです。


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岡倉天心の風呂敷

2017.12.11.Mon.11:55
9月に風呂敷の便利さを再認識した日記を書きました。工夫すればいろいろな用途で使えるので重宝しています。

http://ebinet.blog99.fc2.com/blog-date-201709-5.html


11月半ばごろ、茨城県天心記念五浦美術館で催されていた開館20周年を記念した『龍を描く』という展覧会を見に行った時のことです。ミュージアム・ショップに格好いい風呂敷が売られているのを発見。手にとってみると、あの岡倉天心がボストン美術館に勤務していた時に愛用していた風呂敷を復刻した商品でした。(岡倉天心とは、急激に西洋化する明治という時代の中で、日本の伝統美術の優れた価値を認め、近代日本美術の発展に大きな功績を残した方です。茨城きとの縁は深く、晩年、茨城県五浦に居を構え、横山大観らを育てました。)

私、この風呂敷のストライプの色や配列のモダンさが気に入りました。この粋なデザインに惚れて、私は衝動買いをしたのは言うまでもありません。私にとって3枚目の風呂敷となりました。そろそろ使ってみようかな…と思い立ち、先ほどいただいたばかりのお歳暮の箱を包んでみたり、ショルダーバッグのようにしてみたり…と遊んでみました。惚れ直しましたw。

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1ヶ月前にみてきた「池田学展 The Pen-凝縮の宇宙-」

2017.11.02.Thu.18:39
9月末に東京へ出張した時、日本橋のデパートで催されていた「池田学展 The Pen-凝縮の宇宙-」を見てきました。9月はバタバタしていて、展覧会を見てからもう1ヶ月も経ってしまいました。やっと感想を書けますw。以前、池田氏は美術番組で作品が紹介され、ずっと気になっていたアーティストでした。私の出張と個展のタイミングが合ったことが幸いしました。池田氏の画業20年を振り返る展覧会、私が会場に着いたのは比較的遅い時間でしたが、仕事帰りと思われる美術愛好者で大盛況でした。

私はどちらかというと、抽象画や現代美術が好きなので、この展覧会にあるような具象画を見たいと思うのは稀です。私の興味は池田氏の創作手法でした。1mmに満たないペンを使い、その細い線で描ける大きさは一日に10センチ四方。非常に緻密な描写です。半年前にみたブリューゲルの「バベルの塔展」を思い出しました。しかしながら、池田氏が描きだす作品はとても大きなスケール感と構成感がありました。映像展示をみると、池田氏は全体のイメージを決めず、漠然としたイメージで、まずディテールを描きはじめ、描きながら除々に全体像をつくっているという創作プロセスをとっているそうです。彼自身その描き方を「積み木を積むよう」と言っていました。作品そのものも大きく圧倒的。出来栄えもなかなかすばらしく、私は驚きました。私の仕事である建築をはじめ、多くの美術作品は全体像を構想してからディテールを決めていくことが多いからです。一般的な手法を演繹的というなら、池田氏の場合は帰納的と言えそうです。

芸大の卒業制作でもある『巖ノ王』(1998)は、前述したブリューベルの『バベルの塔』のような量感。精緻に描かれた岩の質感が見事。細部には動物が描かれていて、いろいろ発見があって楽しい作品。この作品が、池田氏の画風を決めたのだと思われます。
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『予兆』という作品は、大波で多くのものがのみ込まれる様子が描かれています。私は311東日本大震災のイメージを描いたのかな…と思ったのですが、実際に描かれていたのは2008年でした。芸術家の直感(予感?)がこの作品を描かせたのでしょうか?
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一方で最後の展示室にあった『誕生』という作品は震災後の2013~2016年に描かれたもの。大波が押し寄せる海面から大樹が現れ、花を咲かせています。復興の願いが込められた作品であることは明らかです。この展示室だけは撮影可でした。縦3m✕4 mもあります。実作をみると4年もかかることが実感できます。

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ドイツの建築家ミース・ファンデル・ローエは“神は細部に宿る(God is in the details)”という言葉をよく口にしました。彼の建築に見られる考え抜かれたディテールがすばらしく、細部まできちんと仕上げてあるのですが、池田氏の作品を見ていても同等のことを感じました。いかに細かいところまで描きこんでいるかは、実作をみないと到底、感じることができない作品でした。

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「おはよう、ディエゴ」 ジャコメッティ展は行かねば…

2017.07.09.Sun.17:45
今朝のEテレ『日曜美術館』の展覧会情報の中で、今、東京で行われている『ジャコメッティ展』が紹介されていました。私、彫刻家アルベルト・ジャコメッティの作品がかなり好きなので、上京した時には見に行かねば…と思っています。(テレビに出る前に行きたかったなw。なぜならテレビに出ると混むから)

ジャコメッティと私の出会いは、私が高校生のころです。現代国語の教科書に哲学者・矢内原伊作の随筆が載っていました。その内容に感銘を受け、彼の本を耽読しました。そして彼の著作『ジャコメッティとともに』に出会ったのです。当時は細長い棒のような彫刻というイメージでしたが、東京の美術館でジャコメッティの実作をみて、その「空間性」「哲学性」に感動しました。

その後、外遊先のスイスやフランスで彼の作品を見てきましたし、彼の展覧会なるものがあると、できるだけ行くようにしています。最後にみたのは、10年ほど前の川村美術館の回顧展かな?

二十数年前、仙台に勤務していました。ある画廊で、フランスのタンレ城というところで行われた展覧会のポスターを見かけ、気に入って買いました。シンプルなのに空間的で、彼の彫刻の特徴もよくでていたからです。せっかくなので額装してもらいました。いま、わが家の廊下に掛けられています。このポスターのタイトルは「男の肖像」ですが、ジャコメッティの弟ディエゴに似ているので、私が勝手にディエゴと名付けています。だから、毎朝、起きると「おはよう、ディエゴ」とつぶやきますw.


ジャコメッティは「見えるがままに」表現することにこだわった彫刻家です。「見えるがまま」というのは写真のようなものではなく、ジャコメッティが対象物と向き合うことでで思索したことによって顕れたかたちであると私は考えています。

わが家のジャコメッティ
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