雨中の建築行脚「駐日クウェート大使館」

2018.03.12.Mon.09:44
3/8に上京した時、丹下健三設計の「駐日クウェート大使館」を見てきました。なぜ雨の中、わざわざ見に行ったかというと、耐震性の問題があり、4月ごろから改築がはじまると発表されていましたからです。解体されてしまってからではもう遅い。見られる時に行かないと!と思い、行ってきました。ここへ行ったのは私が建築学科の学生だったおよそ30年前。白金高輪駅を降りて三田方面へ。この辺りは坂が多いことでも有名。幽霊坂など通って歩くこと十数分。難儀でしたw。

傘を持ちながらの撮影だったので、あまりよく撮れなくて残念。さらに大使館という用途上、内部への立ち入りもできなく残念。

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この建物は、丹下健三の作品の中では、ユニークな部類だと思います。デザイン的な特徴は、上層部分が大使公邸、下層部は大使館の事務室と機能的にクリアな分離がなされていること。上層部は2本のコアシャフト(階段やエレベーターなどが入る縦方向に強い構造体となる部分)によって支えられています。上下の大きなボリュームで構成されているユニークな造形です。このデザインの考え方は、この4年前に竣工した甲府にある山梨文化会館にも通じるところがあります。最近、流行している建築は、建築の存在そのものを感じさせない軽めのものが多い中、クウェート大使館は構造的に雄弁で存在感が大きい建物です。これは丹下の代表作の中ではそれほど有名ではありませんが、私は好きです。
20世紀の大建築家ル・コルビュジエは、近代建築の五原則を提唱しました。それは①ピロティ、②屋上庭園、③自由な平面、④横連窓、⑤自由なファサード。丹下はル・コルビュジエを非常に尊敬していたので、この駐日クウェート大使館からも五原則の痕跡を見出すことができます。

以下の画像は、別の方が好天の時に撮ったものです。
上手の撮れていますね。
特に夜景は、建物の仕組みがよく分かります。

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不思議なかたちの移動式コンサート・ホール@六本木

2017.10.13.Fri.21:55
先週、10/4水曜は東京出張でした。
昼までに打ち合わせをサクッと終わらせました。
今回の上京にはもうひとつ目的がありました。

それは六本木の東京ミッドタウンで
「ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ 2017」にやってきた
移動式コンサート・ホールを見るためです。
このホールの名前は「アーク・ノヴァ(ARK NOVA)」。
意味は、“新しい方舟”。
音楽や芸術を通して東日本大震災の復興支援の一環として、
これまで松島、仙台、福島の音楽祭で利用されてきました。
そして今年は東京へやってきました。

この建築物は、建築家の磯崎新氏と
インド系英国人彫刻家のアニッシュ・カプーア氏によってデザインされました。
高さ18m・幅30m・奥行36mの空気膜構造による巨大な移動式コンサートホール。
床面積642平米。C種膜材の厚さは.63mm。建築の重さは約1,700kg。(軽い!)
1時間ほどの送風で、風船のように膨らみます。
構造の考え方は、東京ドームと同じです。
イベントが終わると、折り畳んでトラックで輸送できます。

私は15時からはじまるコンサートに間にあうように
地下鉄・乃木坂駅から急ぎ足。
ナスのような不思議な形が見えてきました。
やわらかい3次曲線はいままで見たことがありません。

彫刻家カプーアの作品は、森美術館で1度だけみたことがあります。
「私が妊娠した時」というレリープです。
妊婦さんのお腹のような不思議なかたちをした作品でしたが、
このアーク・ノヴァにも、彼の作風がよく顕れているような気がしました。

ホール内は正圧になっているので、
空気が漏れないように回転ドアからひとりずつ入場します。
これは東京ドームと同じですね。

内部空間は、ホール後方から天井にかけて横断する
柱のようなダイナミックなドーナツホールが印象的です。
これは天井部の膜を支えるはたらきをしているようにも見えます。
まるで臓器の中に潜り込んだような不思議な感じでした。
ウルトラ世代の私は、ウルトラセブンが米粒ぐらいの大きさになって
人の胎内の中に入っていって、怪獣と戦ったシーンを思い出しましたw。

16年ほど前、新設の小学校を設計した時、
昇降口の上部にトップライトを兼ねたドームに膜構造を使用したことがあります。
この時は機能上、かつ法規的な規制があり
空気膜ではなく、構造材に膜を張ったかたちにしました。
構造計算書も、見慣れたものとはちょっと計算方法が違っていましたねw。

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私が聴いたコンサートは、
ルツェルン・フェスティバル・アカデミー修了生による室内楽です。
桑原香矢(ヴァイオリン)、東摩耶(ヴァイオリン)、
大野若菜(ヴィオラ)、サイモン・トンプソン(チェロ))

演目は
ボロディン:弦楽四重奏曲第2番 ニ長調
マリー・シェーファー:弦楽四重奏曲第12番

アコースティックな音を聴くホールとしては
やはり物足りないものがありますが、
仮設の移動式ホールとしては、まあまあ許せる範囲でした。
反射音はあまり感じることができず、
直接音を聴くだけのホールでした。

ボロディンの弦楽四重奏の濃厚は響きはあまり感じることができず、
美しい旋律がちょっと浮いた感じでしたね。
一方で、現代音楽の作曲家マリー・シェーファーの作品は環境音楽的でした。
こういう音楽の方がこのホールには合いますね。

こういう移動式ホールで音楽を聴くのも
一興でした。

モリゾーの家?

2017.06.15.Thu.10:07
2週間ほど前に上京した時、
不思議な建物を発見しました。
それはファサードのほとんど蔦に覆われています。
かろうじて窓や扉など建具のみが露出しています。

その時、私は“愛・地球博”のキャラクターだった
「モリゾー」を思い出しました。似てますよねw。
この建物を私は心の中で「モリゾーの家」と命名。

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超芸術トマソン的な「純粋ドア」

2017.06.14.Wed.23:27
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私が建築学科の学生だったころ、
超トマソン芸術という概念が話題になったことがあります。
wikiでは、超トマソン芸術を
「不動産に付属し、
まるで展示するかのように美しく保存されている無用の長物。
存在がまるで芸術のようでありながら、
その役にたたなさ・非実用において
芸術よりももっと芸術らしいもの。
かつては役に立っていたものもあるし、
そもそも作った意図が分からないものもある。
超芸術を超芸術だと思って作る者はなく、
ただ鑑賞する者だけが存在する。」と説明しています。

先々週、東京へ出張した時のこと。
私が乗った東京行きの高速バスが
向島から一般道へ降りて信号待ちをしていた時、
車窓にトマソン芸術的なドアを発見しました。

歩道から1.5mぐらいのところに
取り残されたようについているドア。
人間サマが出入りすることを拒否しているかのよう…w。
機能を失っているので、私はそれを「純粋ドア」と呼びたい。
おそらく前面道路の拡幅で、こんな状態になったのでしょうね。

私、慌ててガラケーのカメラで撮ったのですが、
色合いがどことなく昭和的になっていました。

都市の隙間

2017.06.03.Sat.09:36
昨日は東京へ出張でした。
朝、8時前に家を出て、帰宅は0時半でした。
着替えたら、睡魔に襲われ
泥に沈むように寝てしまいました。

その日、10時半ごろ、浅草で高速バスを下車しました。
すこし時間があったので、久々に浅草駅周辺を散策。
和服を着た女性数人が写真を撮りあっていましたが、
会話が中国語でした。ビックリw。

ビルとビルのわずかな隙間から
スカイツリーが見え、シャッターを押してしまいました。
思わぬところで、思いがけないものが見えると楽しいです。
普通のビルがスカイツリーの額縁になっています。

建築関係者でありながら、
スカイツリーそのものには興味がないので、まだ昇っていませんw。
といいつつ、その日の上京の目的は建築の新技術の講習でした。

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夕方、食べたいものがあって渋谷の道玄坂へ。
路地にひっそりとある長崎ちゃんぽんのお店です。(ゴローごっこ)
見上げると夕刻の空が紐のようです。
なんとも言えない空の色。
ひと目を避けるようにあるたたずむ
このちゃんぽん屋はテレビの影響からか盛況でした。
下目線は路地に人がいっぱいですが、
上を見ると、夕空が切ない。

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東京の隙間から見えてくる表情は、
なかなか情感があってイイですね。